2019 Fiscal Year Research-status Report
中国・三峡ダムにともなう住民移転と生活再建――追跡調査にもとづく社会学研究
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17K04141
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
浜本 篤史 東洋大学, 社会学部, 教授 (80457928)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 立ち退き / 移住 / 補償 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国・三峡ダムにともなう住民移転を対象として、住民移転の中長期的な帰結について、研究代表者自身が実施した十数年前の調査データと照らしながら、住民の経験・認識レベルと政策レベルの両面から社会学的に解明することにある。 2019年度は、9月上旬に中国・南京の河海大学において、INDR(International Network on Displacement and Resettlement)で年次研究集会が開かれた。また、それに先立つ8月下旬は、河海大学国家移民研究センターの施国慶教授らの案内により、重慶~宜昌間の長江沿岸都市である豊都、忠州、奉節、巫山などにおいて、三峡ダムの水没地を同参加者らとともに移住から追跡調査を実施した。すでに移住から20年前後が経過しており、移住直後とは異なる地域発展の動向や住民の認識が得られたと同時に、移住直後とはほとんど変化のない側面も確認できた。 さらに広東省での追跡調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルスの動向により断念せざるを得なかったので、当初計画にはなかったがフランス・ドルドーニュ川におけるボール・レ・ゾルグダムの水没地を訪問した。コミュニティにおける記憶の継承、観光による地域発展など、日本および中国との異同について知見を深めることができた。 三峡ダムの水没地域は広大であり、また移住地も多方面に展開しているので、その全貌を掴むことは容易ではないが、中国人研究者のみならず、日本やアジア、英語圏の研究者らと意見交換する機会にも恵まれ、およその状況を把握することができたように思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスのために、中国・広東省での現地調査を延期したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に延期した中国・広東省での現地調査について、新型コロナウィルスをめぐる諸動向次第ではあるが、2021年2月ごろに遂行する計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で、中国で実施予定だった現地調査を延期したため。
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