2022 Fiscal Year Annual Research Report
Resettlement and livelihood restoration induced by the Three Gorges Dam in China: a sociological study based on a follow-up research
Project/Area Number |
17K04141
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浜本 篤史 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80457928)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 立ち退き / 移住 / 補償 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国・三峡ダムにともなう住民移転を対象として、住民移転の中長期的な帰結について、研究代表者自身が実施した十数年前の調査データと照らしながら、住民の経験・認識レベルと政策レベルの両面から社会学的に解明することにある。
当初は2019年度末に、広東省における移住者への追跡調査を実施して完了する計画であったが、新型コロナウィルスの感染拡大状況によって研究期間の延長をした。しかし、延長後も海外渡航ができない環境が続き、2022年度もそれは果たせないまま最終的に断念することになった。そのため2022年度は今後の機会のために改めて原点に戻り、資料ベースでの住民移転の動向整理をおこなった。とりわけ、2000年~2006年にかけて段階的に実施された広東省各地における移住者受け入れとその後の事後支援策について、これまでの現地調査で得られた個別ケースの知見とあわせて確認作業をおこなった。
このほか、中国における発展観の変遷に関する論稿作成に携わる機会を得て、2003年の胡錦涛総書記時代の「科学的発展観」および第17回共産党党大会(2007年)での「四位一体」(経済建設・政治建設・文化建設・社会建設)戦略、さらに第18回共産党党大会(2012年)における「五位一体」(生態文明建設)といった流れを確認した。こうした国家レベルでの発展戦略の変遷と三峡ダム関連の諸施策との接合についてもマクロな観点から裏付けていく作業をおこない、今回の締めくくりとした。
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