2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Qualitative Study of Teachers' Practical Expertise in Active Learning
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17K04147
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
五十嵐 素子 北海学園大学, 法学部, 教授 (70413292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平本 毅 京都府立大学, 文学部, 准教授 (30469184)
森 一平 帝京大学, 教育学部, 准教授 (90600867)
團 康晃 大阪経済大学, 人間科学部, 准教授 (90800962)
齊藤 和貴 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (80911825)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エスノメソドロジー / 会話分析 / 授業研究 / 授業分析 / 相互行為 / 教師の職能 / 教育方法 / アクティブ・ラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は(1)生徒の主体性がどのような学習環境のもとに発揮されるのか(2)生徒同士の対話がどのような相互行為上の資源に促され展開されていくのか、を分析しそれらの知見を踏まえ「アクティブ・ラーニング」が行われるにあたって(3)教師がどのような環境を整え、支援や介入をする必要があるのかを明らかにすることを目的とする。 この第一の成果は代表者・分担者が編著者となった『学びをみとる』(新曜社)にまとめられた。上記3課題は相互に関連しているが、(1)の成果は2章(森)、5章(巽・五十嵐)、7章(鈴木・五十嵐)である。(2)の成果は4章(齊藤)とその前提的議論としての1章(平本・五十嵐)と、3章(團)である。(3)の成果は、各章で教師の学習活動の計画・デザイン、活動中の援助・介入の作業に関係づけられて知見が示された。 これらの知見からは、生徒の「主体性」の発揮に関わる相互行為の水準とその様相は複数ありえ、そこでの教師の支援や援助は、計画された学習活動における行為役割の配分とその円滑な実施と、授業会話の整序とそこへの生徒の参加機会の配分に焦点化していることが示唆された。これを実現するにあたり生徒側の相互行為能力の存在が必要となり、授業の進行中でも生徒への援助や介入が必要となることも示された。 こうした成果は、現在の授業実践に求められる教師の職能を明らかにするものであり、同書8章(鈴木・齊藤・五十嵐)では、現場の実践に授業分析を生かす方法の提案も行った。また、社会学以外の研究領域に知見を還元する方法論の知見としてもまとめた(平本2023)。また教育実践の特徴を具体的に示したことで、教育諸学の知見としても高い評価がなされた(森2023,2024a)。本課題の知見そのものと方法論の展開可能性がEMCA研究会例会でも広く確認された(五十嵐:2024; 森:2024b)。
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