2017 Fiscal Year Research-status Report
社会的事業の台頭と震災復興の長期化により転換期を迎えたNPOに関する実証的研究
Project/Area Number |
17K04148
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
齊藤 康則 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (00516081)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 東日本大震災 / NPO / ボランティア / 農業支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は東日本大震災、および熊本地震の被災地をフィールドとして、仮設住宅・災害公営住宅等における入居者同士のコミュニティ形成、あるいは生業(農業・漁業)の復旧・復興に従事してきたボランティア・NPOを対象として、ヒアリング調査を実施した。この中で、生業支援ボランティアの取り組みが、災害初期の生産基盤の復旧にとどまることなく、生産力の回復(担い手の育成)、販路の再形成(インターネットを活用したCSA(地域支援型農業)的な取り組み)など、多岐にわたっていることを指摘した。 合わせて、平成29年度には阪神・淡路大震災以来、国内外のさまざまな被災地において、災害救援活動を継続的に展開してきたNPOの「第二世代」にあたる30~50歳代のリーダーからのヒアリングも実施した。その中では、災害ボランティアの常識化、災害ボランティアセンターの制度化により、災害ボランティアそのものが硬直化しつつある中、関係の中から日常的なニーズを紡ごうとする「里帰りボランティア」、避難所生活を送る生活弱者のミニマムを整えようとする「面の支援」など、彼ら彼女ら「第二世代」が新たな取り組みを生み出しつつあることを発見した。 一方、社会的事業(ソーシャル・ビジネス)の領域では、社会的インパクト評価の導入、休眠預金の活用など、新たな取り組みがスタートしようとしている。そこで、平成29年度は文献調査、シンポジウムへの参加などを通して、現状把握に努めてきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には農業支援ボランティアに関する学術論文が1本刊行された。また、平成30年度には災害ボランティアに関する学術論文が1本、東日本大震災の被災者の生活支援に関する書籍(分担執筆)が出版される予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、東日本大震災の復旧・復興過程で見られたボランティア・NPOの取り組みについて、中間総括をおこなうとともに、社会的インパクト評価、休眠預金など新たな制度について時系列で整理し、それを踏まえて種々の団体からヒアリングを実施する。
|
Causes of Carryover |
当初予定よりも安価に物品を購入することができ、若干の残額が発生した。この残額については、平成30年度の物品費に充当する予定である。
|