2021 Fiscal Year Research-status Report
多民族社会における自助/共助の研究―在日ミャンマー少数民族(カチン/モン)の比較
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17K04176
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
宗田 勝也 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 研究員 (80771766)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミャンマー / 外国人コミュニティ / 難民 / クーデター / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、新型コロナウィルス感染症の影響によって、主な調査地である東京都内での調査が中断した。 本来は、ミャンマー少数民族の自助組織の取り組みを参与観察するとともに、各少数民族グループのリーダーにヒアリングを実施し、日本社会との関係構築、民族間の協働等について明らかにする予定であった。また参与観察の現場としてミャンマー難民、コミュニティの成人に向けた日本語教室と、ミャンマー難民、コミュニティの子どもに向けた母語教室を想定していた(ともに東京都新宿区)。参与観察、現地でのヒアリングは困難となったが、2021年2月1日のミャンマーにおけるクーデター以降、急速に活発化した在日ミャンマーコミュニティの本国支援のための連携に関して、オンラインによるミーティングに継続的に参加し、コミュニティ内の状況や、日本社会との関わりについて、民族間だけでなく世代間で大きく異なりのあることが分かった。 具体的には、就労や留学で日本に暮らしていた若い世代は、日本語運用能力が高く、ミャンマーへの支援に対して積極的に日本社会と交渉し、時には活動に持続的な協力を得ることに成功していた。また、これまで民族間における日本社会との関わりの差異に関しては、クーデターという非常事態を受け、各民族の募金活動などの取り組みを相互参照する機運が高まり、これまで日本社会との関係性において、深く関わりのあるグループと、民族的コミュニティに閉じたグループが存在したが、支援活動の中でそうした差異を克服していく過程を知ることができた。 在日ミャンマーコミュニティの日本社会との関わり、民族間の関係性についてクーデター前後を比較しつつ、社会問題化の観点から再整理し、国際ボランティア学会第23回大会において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、新型コロナウィルス感染症の影響で現地(主に東京都内)における参与観察、ヒアリング等は十分に行うことができなかった。しかしながら、2021年2月1日のミャンマーにおけるクーデター以降、在日ミャンマーコミュニティ内/間のコミュニケーションが活発化したことに加え、オンラインの会議が一般化したことにより、そうした会議に継続的に参加することで、在日ミャンマーコミュニティと日本社会との関係構築、民族間、世代間における関係性についてデータを収集、分析することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
クーデターによって変化した在日ミャンマーコミュニティの日本社会との関係性の構築過程の観察は、研究課題における「民族間」に「世代間」の視座をもたらした。研究をまとめるうえで、民族間の差異とともに世代間の差違について追加の調査を進める。
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Causes of Carryover |
2021年度に実施できなかった調査を次年度に繰り越したため。繰り越し分は、ヒアリング調査の旅費として使用する。
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