2017 Fiscal Year Research-status Report
直系家族制から夫婦家族制への移行に関する社会学的研究
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17K04181
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
乾 順子 大阪経済法科大学, 法学部, 准教授 (00716897)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 家族の理念型 / 直系家族と夫婦家族 / 主観的家族の範囲 / 祭祀の継承 / 老親扶養と介護 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、計画どおり、主観的家族の範囲についての分析、老親扶養・介護に関する規範の分析および新聞のおくやみ・訃報データの収集を行った。 NFRJ-08パネルデータのロングデータを用いて、主観的家族の範囲と老親扶養・介護に関する規範の分析を行い、日本社会学会で報告を行った。報告の内容は、直系家族制と夫婦家族制の理念の整理、理念と現実(実態)の関連、直系制家族と夫婦制家族との関連、家族の範囲をどのように決めればよいのかについて(森岡 1993)に依拠しながら整理した。森岡(1993)では、同居しない家族の範囲について5つの条件を考慮しているが、そのうち5つ目の「当事者による単一家族の認知」が必要十分条件であるとみなし、分析を行った。 分析の結果明らかにしたことは、以下のとおりである。 全体の傾向としては、男性、女性ともに、若い出生コーホートほど実父母を家族であると回答する割合が高い。男性は配偶者の親についても同様の傾向があり、年齢が若いほど夫婦家族制を支持しているわけではない。同居していれば家族と回答する傾向がある。女性は扶養はするが、同居、介護はしないという回答割合が多い。対して男性は女性に比べ、直系家族制につながる、親との同居、扶養、介護についての肯定意識をもつ割合が高い。 新聞おくやみ欄のデータについては、奈良新聞と京都新聞の電子版の購読契約を行い、亡くなった方の情報と喪主データを収集した。データの整理にあたっては、学生アルバイトを雇用して行った。京都新聞は544件、奈良新聞は60件でのデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において想定していた課題すべてに取り組むことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
直系制家族、夫婦制家族の理念の支持層の分布を全国規模のデータで明らかにしたうえで、それらが、同居、扶養、介護についての規範意識にどのように影響を与えているのかを分析し、学会発表を行う。さらに、地方紙掲載のおくやみ欄の分析により、祭祀の継承の表出としての喪主が誰なのかを分析し、家族内における性別役割分担の頑健性の理由の解明へとつなげる。その結果を論文として発表する。
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Causes of Carryover |
新聞購読料が次年度の支払いとなったこと。
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