2017 Fiscal Year Research-status Report
HTLV-1関連疾患当事者の当事者運動に関する研究
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17K04184
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
桑畑 洋一郎 山口大学, 人文学部, 准教授 (50532686)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HTLV-1関連疾患 / 当事者運動 / 社会運動 / 医療社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画書では、平成29年度は、研究前半期と位置づけ、調査を主とする時期としていた。調査対象は、研究助成申請時点で知遇を得ていた九州圏内の当事者団体を元に、徐々に対象を増やしていくスノーボールサンプリングの方法を取ることを計画しており、今年度実際に同方法により対象者を拡大した。また、やはり研究計画書作成段階で予定していた、当事者団体の運動に同行するなど、アクションリサーチ的手法も調査に組み込み、実践的な調査を進めることができた。そうした調査の結果として、平成29年度は、当事者への調査、アクションリサーチ的な手法も用いながら、ある程度想定通りの成果を得られたと考えている。上述した通り調査対象の拡大も実現でき、調査の幅を広げることができた1年となったし、また、論文執筆を元に研究の精緻化も進めることができた年ともなった。主な成果としては、次の2本の論文が挙げられる。第1に、桑畑洋一郎,2018,「保育者養成と多様性――保育者養成テキストの内容分析とHTLV-1関連疾患当事者のインタビュー調査から」『子ども未来学研究』(12) 27-37である。第2に、桑畑洋一郎,2017,「病の当事者の共同性/病の当事者と共同性――HTLV-1関連疾患当事者団体の運動に注目して」『社会分析』(44) 13-30(依頼・査読あり)である。 そのほかにも、投稿し査読を受けたものの不採択だった論文が1本あり、修正中である。 こうした、調査と成果公表の往還から、HTLV-1関連疾患当事者の当事者運動がどのように動いており何を求めているのか、またどのような成果を得ているのかといったことの更なる体系的考察へと展開しつつあるところである。次年度も調査を継続しつつ、さらに論文執筆等を進め、研究の精緻化を進める所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前半期との位置づけながら論文2本の公開ができたため進展は順調であろう。ただし一方で、査読論文1本が掲載決定には至らなかったため「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに学会報告と論文執筆を進めるとともに、調査も継続して行い、可能であれば書籍として研究成果をまとめ、HTLV-1関連疾患当事者の当事者運動に関する体系的考察を完成させたいと考えている。
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