2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the Family Home System in Japan: Building the New Child Welfare System
Project/Area Number |
17K04186
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
園井 ゆり 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (40380646)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ファミリーホーム制度 / 社会的養護 / 児童福祉 / パーマネンシー理念 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ファミリーホーム(FH)制度発展のための効果的実践方策を、FHの養育者の意識に関する側面(意識的側面)とFH制度に関する側面(制度的側面)において分析、提言することである。今年度は研究最終年度として研究総括を行った。 1)調査実施状況について。本調査は日本社会学会倫理綱領を遵守し実施した。調査地域は主に北海道、近畿、九州地域で、調査対象者はFHの養育者である。全体的傾向について。調査対象は25のFH(個人型20、法人型5)における40人の養育者である。過半数のFHが夫婦共に専業(雇用された夫婦を含む)の形態である。養育者は50代を中心とし、過半数のホームが12年以上の社会的養護経験を持つ養育者により営まれていた。養育者になった動機は、約7割が要保護児童の福祉増進のためと回答した。委託児童の傾向について。委託児童総数は125人で1ホームあたり平均委託児童数は4.9人、男児が若干多く、平均年齢は約11歳である。約4割の児童に障害があり、約7割のホームがきょうだい児を委託していた。以上から、FH制度は特に高年齢児、障害児、きょうだい児の養育を、経験豊富な養育者が行う制度として有効に機能する点が指摘できる。本調査は新型コロナウイルス感染防止のため限定的実施となったため、今後も調査を継続する。 2)研究成果について。意識的側面の分析からは、特に新規FH養育者の開拓は、社会的養護経験を持ち、要保護児童の福祉を重視する養育者を開拓すること、制度的側面の分析からは、FH制度は高年齢児や障害児等の養育を行う制度として有効に機能するため、これら児童の養育に必要な経済的人的支援制度を拡充する必要があることが指摘できる。最終的に、本研究では要保護児童の福祉増進を目的とする、パーマネンシー理念に基づく児童福祉体系を構築した。養育者が委託児童を安定的に養育継続できるように必要な支援制度を整備することが重要である。
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