2018 Fiscal Year Research-status Report
Adverse health effects in partners with cancer
Project/Area Number |
17K04190
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中谷 直樹 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (60422094)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 配偶者 / 慢性疾患 / 精神 / 心理 / 主観的健康観 / 抑うつ症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、配偶者の主観的健康観と本人の抑うつ症状の関連について、一般地域住民を対象とした横断研究デザインにて分析した。2013年10月から2016年3月に東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査(調査対象は宮城県在住で20歳以上の男女)に参加した者52,212名に家族関係調査票を配布し、同一世帯家族で調査に参加している者を同定した10,782人(5,391組)。同定した配偶者ペアのうち2017年4月11日現在で同意撤回が無く、自記式調査票への回答があった10,288人を解析対象とした。配偶者の主観的健康観は(とても良い/まあ良い/あまり良くない/良くない)のうち1つ選択した。本人の抑うつ症状は、CES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)にて評価した。統計解析は多変量ロジスティック回帰分析を用い、配偶者の主観的健康観「良好群:とても良い/まあ良い」に対する「不良群:あまり良くない/良くない」について、本人の抑うつ症状有り(CES-Dスコア16点以上)のオッズ比(95%信頼区間)を算出した。調整項目は本人の性、年齢、教育歴、喫煙、飲酒、職業、家屋損壊の程度、BMI、歩行時間、慢性疾患既往歴とした。【結果】分析対象者10,288人のうち、抑うつ症状ありの者は2,422人(24%)であった。配偶者の主観的健康観「良好群」に対する「不良群」の本人の抑うつ症状有りのオッズ比は、1.2(1.03-1.3)と有意に高かった(p=0.02)。この関連は、本人が女性(オッズ比=1.3、p=0.03)、また、本人の年齢64歳以下の者(オッズ比=1.3、P<0.01)で両者の有意な関連が示された一般地域住民を対象とした横断研究により、配偶者の不良な主観的健康観と本人の抑うつ症状の関連が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、前年度に特定した配偶者ペアを用い、「大規模な配偶者ペアを用い、配偶者のがん既往がパートナーに及ぼす健康影響(特に精神・心理面及び社会的影響)」を同定するために統計解析を行った。 ①配偶者ががん既往ありの者とがん既往なしの者に分類し、本人の心理的苦痛(K6スコア13点以上)、抑うつ症状(CES-Dスコア16点以上)、不眠(AISスコア6点以上)、無職である者の有病率を算出した。 ②配偶者の主観的健康観の良い者と悪い者に分類し、本人の抑うつ症状(CES-Dスコア16点以上)の有病率を算出した。 平成30年度は研究支援者の雇用がスムーズに行き、分析が順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、このコホート調査では、精神・心理面の評価として心理的苦痛、抑うつ症状、不眠や既往歴、採血、採尿、調査票 (喫煙、飲酒、食事などの生活習慣に関する質問、震災に関する質問)等を実施する。したがって、配偶者のがん既往がパートナーに及ぼす健康影響が大きい者の背景要因(心理的ストレスに脆弱な要因として、若年、女性、東日本大震災の被害程度が大規模、他の同居者がいない者、低い教育歴の者)を広範囲 に検討する。 平成30年度に実施した分析(配偶者のがん既往・自主観的健康観がパートナーに及ぼす健康影響)において、心理的ストレスに脆弱な要因としての年齢、性別、東日本大震災の被害程度が大規模、同居者の有無、教育歴が交互作用を示すかどうかを検討する。その結果により、がんを有する配偶者でかつ早急に対応するべき者が同定できる。この配偶者ペアの特定作業のために、申請者(中谷)とともに研究支援者(解析ソフトを使用したデータ管理に卓越した者)を雇用する。また、配偶者のがん既往がパートナーに及ぼす健康影響(特に精神・心理面及び社会的影響)の関連が強い背景要因」を同定するために、研究支援者と実施する。また、共変量として投入する変数の選択や高度な統計解析を実施する際に連携研究者の指導を受ける。
|
Causes of Carryover |
30年度も引き続き調査分析が研究支援者の支援を得て実施しているが、研究計画が順調に実施されたため、平成の当初計画よりも研究支援者の総雇用時間が短くて済んだため。 平成31年度は配偶者のがん既往がパートナーに及ぼす健康影響が大きい者の背景要因(心理的ストレスに脆弱な要因として、若年、女性、東日本大震災の被害程度が大規模、他の同居者がいない者、低い教育歴の者)を広範囲に検討する。また、慢性疾患患者の配偶者への介入方法を文献や有識者から指導を受けて成果報告を実施する。そのため、平成31年度も引き続き研究支援者の雇用が必須であり、その雇用に研究予算を使用する予定である。
|