2017 Fiscal Year Research-status Report
問題解決力を持つ家族システムの解明―統合情報理論の家族システム理論への応用―
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17K04191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
若島 孔文 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60350352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平泉 拓 東北福祉大学, 総合福祉学部, 助教 (00760828)
生田 倫子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (10386386)
花田 里欧子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (10418585)
板倉 憲政 岐阜大学, 教育学部, 助教 (20708383)
佐藤 宏平 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (60369139)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 統合情報理論 / 家族システム / 差異 / コミュニケーション / 問題解決力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,家庭教育と家族支援のための基礎研究として,家族成員間の差異(考え方の違い,能力の違い,行動様式の違い,価値観の違い)と相互作用の量を測り,それらが家族の問題解決とリジリエンスにどのような影響を及ぼしているかを明らかにすることである。 当該年度では,意識という立体的現象を説明する統合情報理論(Integrated information theory)のシェマを家族システムに応用し“高い問題解決力を持つ家族のシステムは,どのような性質を持っているのか”を検討した。統合情報理論では,意識現象がニューロンの差異と相互作用によって生じると仮定する。そのうえで,当該年度における研究の仮説として,“夫婦の差異の得点が高く,相互作用の得点が高い群は,他の群よりも夫婦の問題解決力およびレジリエンスが高い”と想定した。 研究1では夫婦111ペア(平均45.04歳)を対象に質問紙調査を実施した。分析の結果,夫婦には“考え方の差異”,“好みの差異”,“能力の差異”の3つの差異が存在することが示された。また,想定した仮説は支持されなかったが,夫婦の“考え方の差異”と“好みの差異”が少ないこと,夫婦がコミュニケーションを取ることが,問題解決力と家族レジリエンスに肯定的な関連を持つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度計画した調査はすべて終了しており、その研究成果が学会誌に掲載される予定である。以上のことから研究の遂行および論文投稿ともに、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の仮説は支持されなかったため,今後は差異の捉え方を再検討し,研究を進めていく。その上で,平成30年度では親子間の差異に関する尺度の開発を行い,家族全体を対象とし,差異と相互作用が家族の問題解決とリジリエンスに及ぼす影響を検討する。 方法としては,関東および東北地方に在住する子どもを持つ親子200組を対象に,調査を実施する。手続きとしては,親子の差異を網羅的に測定する尺度が存在しないことから,家族研究および家族療法の専門家6名を,親子が葛藤的になる場面において,親子間のどのような差異が影響を与えるのかについて以下の3つの手順を踏まえて検討する。(a)親子間の「差異」の検討。(b)親子の相互作用を測定している既存の尺度を探し,それらを参考にして,親子間の差異を明らかにするためには何をどのように尋ねれば良いのかについて検討していく。(c)その結果,親子間の差異をカテゴリーごとに分けて捉える。以上の3つの手順からカテゴリーおよび項目の修正を行う。家族内の相互作用を測定する尺度や問題解決および家族リジリアンス尺度は,既存の尺度を選定し,使用する。
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Causes of Carryover |
H29年度では、関東および東北地方に在住する子どもを持つ両親(夫婦)200組を対象に,調査を実施する予定であったが,本来の想定より調査協力者の数が少なく,多少の計画の変更が生じた。
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Research Products
(1 results)