2019 Fiscal Year Annual Research Report
福島原子力災害にともなう災害復興と福祉に関する総合的研究
Project/Area Number |
17K04192
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
丹波 史紀 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70353068)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 原子力災害 / 東京電力福島第一原子力発電所事故 / 災害 / 復興 / 生活再建 / 尊厳 / 被災者 / 社会政策学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2011年におきた福島原子力災害における災害復興研究を主として社会政策学および社会福祉学の領域から把握し、かつそこからの被災者の生活再 建と地域再生(レジリエンス)にむけた社会システムの構築をめざす研究である。 本調査研究を通じて、避難者の生活再建や地域再生にむけた課題を明らかにするとともに、長期避難者のコミュニティ形成と生活再建及び市民的権利などに関する具体的な政策提言も行う。 本研究では、計画に沿って以下のような調査研究活動を行った。具体的には、第一に、原子力災害による被災調査、第二に、原子力災害時の行政機能検証とその役割に関する研究、第三に、原子力災害にともなう災害法制度について社会政策学や社会福祉学の領域から研究、である。第一については、原子力災害の特徴である「広域避難」を中心に被災実態把握に努めた。第二については、災害時の行政機能の役割について「福島復興加速化」のもとでの自治体の復興政策を検証した。第三については、広域避難の問題を取りあげ、国際的議論がされている「国内避難民」(IDPs)について取りあげ、その国際的指導原則に則した原子力災害被災者の「尊厳」回復の必要性を学術誌などを通じて政策提言した。 当該年度の研究成果として、論文2本、著書1本(共編著)、学会報告1本を発表することができた。このうち、丹波史紀・清水晶紀編著(2019)『ふくしま原子力災害からの複線型復興-一人ひとりの生活再建と「尊厳」の回復に向けて-』(ミネルヴァ書房)は、この間の調査研究と共同研究による成果の集大成である。ここでは、生活再建と被災者の「尊厳」回復をテーマに、現行の復興政策の課題をあきらかにし、国際原則に基づく支援体制の再構築を提言した。
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