2022 Fiscal Year Research-status Report
少年教護院における処遇困難児への特別な処遇と院外教護の実態
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17K04202
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
山崎 由可里 和歌山大学, 教育学部, 教授 (60322210)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少年教護法 / 少年教護院 / 児童鑑別 / 少年教護院調査要項 / 少年教護委員 / 小舎夫婦制 / 寄宿舎 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、主に以下の3点について研究をすすめた。 第一に、①少年教護院長会議録の他、②全国児童保護大会議事録および社会事業大会議事録(児童保護、少年教護、障害児保護に関連する箇所)における少年教護問題および障害児問題に関する議論や建議、③『少年教護院調査要項』のほか、大阪府『少年教護施設拡充計画案』(1934年)、『児童保護』『社会事業』『社会事業研究』などの雑誌、②大阪修徳学院や国立武蔵野学院所蔵資料のうち、児童鑑別や院内での特別な教育指導に関係する論文・記事・調査等科学的な児童鑑別に基づく分類処遇と少年教護院内での特別な教育の実態、について整理を行った。 第二に、①科学的児童鑑別のオピニオンリーダーであった池田千年(兵庫県立農工学校長・精神科医)の児童鑑別論、②大阪府や国立武蔵野学院における少年教護院改革案、戦後まもなく少年保導法案を提案した熊野隆治(大阪修徳学院長・国立武蔵野学院長)を中心とした特殊少年教護院構想を検討した。 第三に、本研究を通して「寝食をともにする集団生活で追求された『独立自営(じりつ)』のあり方を現代的な教育課題に引き付けて検討し、寝食を共にする集団生活(生活教育)をベースとした「じりつ」像を仮説的に示した。具体的には、少年教護院では職員(教護・保母)と児童が小舎あるいは寄宿舎で寝食を共にする集団生活の中で独立自営をめざしていた点をふまえ、現代的な自立論の一環として、寄宿舎での生活教育とじりつ(自立と自律)のあり方、および職員の果たす役割に関する論文を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①コロナ禍の影響により、一次史料の所在地(児童自立支援施設)に赴いて資料を閲覧するという作業ができなかった。一方で、②これまで収集した一次資料および社会事業・児童保護関係雑誌掲載の資料などの入力、検索等を行うことで、概ね①の不足分を補うことができた。③コロナ禍による施設訪問の制限も緩和され、2023年度の早いうちに一次史料の所在地に赴き、内容の確認を行う目途が立っている。 以上により、今年度中に論文を執筆するなど研究成果をまとめ公表できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響により、2022年度の予算執行上、残金が生じた。これについては、コロナ禍で実施を見送っていた資料調査や収集資料等の整理・入力作業により、全額執行の予定である。 2023年度より新たに科研費を受けることになった。こちらの研究テーマは感化法制期を対象としている。2022年度までで少年教護法制期の検討は概ね終了している。2023年度は、前年度から継続の研究も含め、感化法制期と少年教護法制期を通して、第一に、①感化院長会議、少年教護院長会議録の他、②全国児童保護大会議事録および社会事業大会議事録(児童保護、少年教護、障害児保護に関連する箇所)における少年教護問題および障害児問題に関する議論や建議、③『少年教護院調査要項』のほか、大阪府『少年教護施設拡充計画案』(1934年)、『児童保護』『社会事業』『社会事業研究』などの雑誌、②大阪修徳学院や国立武蔵野学院所蔵資料のうち、児童鑑別や院内での特別な教育指導に関係する論文・記事・調査等科学的な児童鑑別に基づく分類処遇と少年教護院内での特別な教育の実態、についてまとめ、論文化する。 第二に、①科学的児童鑑別のオピニオンリーダーであった池田千年(兵庫県立農工学校長・精神科医)の児童鑑別論、②大阪府や国立武蔵野学院における少年教 護院改革案、戦後まもなく少年保導法案を提案した熊野隆治(大阪修徳学院長・国立武蔵野学院長)を中心とした特殊少年教護院構想について論文化する。 以上のような研究成果の公表(論文化)をめざし、感化法制期と少年教護法制期との比較研究に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による資料調査が実施できなかった分の旅費の残金(旅費分の大半は研究謝金など大学でできる研究に関わる費用として支出)が生じた。2023年度はコロナの5類移行に伴い行動制限が解除されるため、資料調査用の旅費や資料の整理・入力に関わる研究協力謝金等として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)