2019 Fiscal Year Research-status Report
介護支援ロボットの利用が介護現場に与える影響の探求
Project/Area Number |
17K04203
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
原口 恭彦 東京経済大学, 経営学部, 教授 (20343452)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 介護支援ロボット / Quality of life / 音声入力 / タブレット入力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、介護支援ロボットに代表されるICT機器の導入が介護事業運営組織並びに利用者に与える影響を解明することを目的としている。より具体的には、介護支援ロボットの導入を実施している事業所において、職員のモラルや技術の変化、組織内の業務プロセスや協業関係の変化、さらには介護サービスの受け手である利用者の感情的反応や職員との関係などの変化について明確化することを目的としている。特に本研究は、介護支援ロボットのようなICT新技術導入に伴う関係者の感情的反応を解明するだけで無く、職員の技術や協業関係の変化など、客観的事実として起こりうる様々な事象にも着目することを目的とした研究を目指している。 本年度は、事前に研究課題の一部として設定した「介護ロボットの活用が職員個人に与える影響の解明」について重点的に調査準備および調査を実施した。具体的には、肉体的・時間的労働負担に与える影響と心理的側面の双方について、インタビューを中心とした質的調査を実施した。そこでは、肉体的・時間的労働負担に与える影響については、これらの負担軽減がなされたか、仮になされた場合にその軽減された部分はどのように実現されているのかなどを探索した。調査は、近畿圏に展開する指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設等を対象に実施された。また、同時にAIソフトの導入が、職員組織に与える影響を調査するための、リサーチデザインの構築にも着手した。 一方、心理的側面に与える影響では、介護観や利用者との関係認識、やりがい、仕事観、有意義感などの労働観などを探求するために、アンケート調査を企画した。しかし、調査実行段階において、新型コロナウイルスの発生と流行拡大により、アンケート調査の実施が中断されることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの発生と拡大により、職場におけるアンケート調査の実施が出来ない状態が発生した。また、年度末より調査受け入れ機関の受け入れ停止などが発生し、当初予定していた新たなインタビュー調査の実施も延期となった。そのため、一部研究課題の進捗に遅れが発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、「介護ロボットの活用が職員個人に与える影響の解明」について、中断しているアンケート調査の再開とともに研究を深める予定である。また、「介護ロボットの活用が組織に与える影響の解明」について、インタビュー調査が可能となり次第、研究を進める予定である。 さらに、介護記録に音声やタブレットによる入力、さらにはAI技術を駆使したした記録活用の実態解明も併せて進める予定である。 このように質的調査と量的調査を組み合わせた形で、介護ロボットが介護職場へ与える影響を実証的に解明していく。 さらに、これまでの調査結果をとりまとめた時点で、日本老年社会科学会など関係学会誌への投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの発生と拡大により、職場におけるアンケート調査の実施が出来ない事態が発生した。また、年度末より調査受け入れ機関の受け入れ停止などが発生し、当初予定していた新たなインタビュー調査の実施も延期となっている。そのため、一部研究課題の進捗に遅れが発生した。 新型コロナウイルスの収束次第調査を再開する予定である。また、可能な部分については、ZOOMなど音声会議システムを利用した調査に切り替えるための、調査設計の再構築を進める。
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