2022 Fiscal Year Research-status Report
介護支援ロボットの利用が介護現場に与える影響の探求
Project/Area Number |
17K04203
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
原口 恭彦 東京経済大学, 経営学部, 教授 (20343452)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 介護支援ロボット / 音声入力 / タブレット入力 / パソコン入力 / 見守り支援 / ワークシェア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、介護支援ロボットに代表されるICT機器の導入が介護事業運営組織ならびに利用者に与える影響を解明することを目的としている。より具体的には、介護支援ロボットの導入を実施している事業所において、職員のモラルや技術の変化、組織内の業務プロセスや協業関係の変化、さらには介護サービスの受け手である利用者の感情的反応や職員との関係などの変化について明確化することを目的としている。特に本研究は、介護支援ロボットのようなICT新技術導入に伴う関係者の感情的反応を解明するだけで無く、職員の技術や協業関係の変化など、客観的事実として起こりうる様々な事象にも着目することを目的とした研究を目指している。 本年度は、事前に研究課題の一部として設定した「介護ロボットの活用が組織に与える影響の解明」について重点的に調査準備の遂行を行った上で、調査を実施した。つぎに、他の研究課題である「介護ロボットの活用が利用者のQOL(Quality of life)に与える影響の解明」についても、質的調査を中心としたデータ収集と分析を行った。 さらに、次年度に実施予定の大規模量的調査及び質的調査の調査準備のため、各施設運営者と調査実施についての細部の準備を進めた。 また、職員のICT利用によるワークシェアの実態について基本的な調査を実施した。そこでは、ICTを活用したワークシェアを行うことが、職員個人にいかなる影響をもたらすのかについて検討を行った。同様に、組織がICTを利用し組織運営上の労務管理などを行うことの効果についても検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行が徐々に収束しつつあるとはいえ、介護施設においては外部者との接触制限は継続している。その影響を受け、参与観察の実施が出来ない状態が本年度も発生した。また、アンケートによる調査も中止要請が出され、対応が求められた。そのため、調査計画のさらなる検討が必要となった。 その代替として、二次資料による調査、新たな調査先の開拓を実行した。そのため、一部研究課題の進捗に遅れが発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、「介護ロボットの活用が利用者のQOL(Quality of life)に与える影響の解明」「介護ロボットの活用が組織に与える影響の解明」について、アンケート調査、インタビュー調査、参与観察等の再開を実行し研究をとりまとめる予定である。 また、音声やタブレットによる入力および記録活用の取り組みについても調査報告書をまとめる予定である。そのうえで、量的調査と質的調査を中心に、介護ロボットが介護職場へ与える影響を実証的に解明する予定である。 また、ICTを利用したワークシェアの効果を測定することにより、QOLに与える影響の解明をさらに進める予定である。 最終的にこれまでの調査結果をとりまとめた時点で、日本介護福祉士会など関係学会誌への投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染については、収束しつつあるが介護施設においては接触制限はかなり強く実施されていた。そのため、参与観察調査を始め各種調査の実施を中止せざるを得ない事態が発生した。そのため、一部研究課題の進捗に遅れが発生した。 今年度は、コロナウイルスの分類も変更され、円滑な調査の実施が見込まれるため、その深化も含めた調査設計の再構築を進める。また、ICT技術を活用した調査手法の導入も実施する予定である。
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