2017 Fiscal Year Research-status Report
広報戦略の観点からみた養育里親におけるリクルート手法の実態と可能性
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17K04205
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田北 雅裕 九州大学, 人間環境学研究院, 講師 (20551550)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 養育里親 / ショートステイ / 広報 / ソーシャルマーケティング / 里親リクルート / 情報デザイン / ファミリーサポートセンター事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
里親普及活動や里親リクルートの国内事例について、先行研究や文献を通して実態を把握するとともに、里親普及が進まない理由、里親委託率が低い理由、里親登録プロセスを踏まえた課題の整理等を試みた。また、2017年8月に厚労省より示された「新しい社会的養育ビジョン」の中で強調されていた在宅支援の強化や「ショートステイ」の社会的養護としての位置付け等を鑑み、養育里親の意義を改めて整理した。その結果、「短期の養育里親」に着目する点や、市区町村が窓口となる「ショートステイ」や「ファミリーサポートセンター事業」の取り組みが、効果的な里親リクルートにもつながると想定され、東京都福祉保健局および新宿区子ども総合センター、そして福岡市こども総合相談センターや里親普及活動に取り組むNPO等にインタビュー調査を行った。特に福岡市西区で取り組まれている「みんなで里親プロジェクト」についてはその詳細を把握した。さらに、広報戦略の下地になる、行動変容理論(ソーシャル・マーケティング理論等)や広報にかかる理論を先行研究および文献から整理し、里親リクルートへの適用可能性について吟味を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究や文献等による、里親リクルートにつながる知見の整理は、順調に進捗しており、予定していた国内事例の調査も進んでいる。一方で、里親をはじめとした今後の家庭養育の方針に大きく影響を与える「新しい社会的養育ビジョン」が2017年8月に厚労省より提示されたため、改めて、今後の国の方針を把握した上で、国内の調査に力点を置く必要があると考えるに至った。したがって、当初は平成30年度に予定していた海外事例調査は、平成31年度に取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は里親普及活動および里親リクルートという観点から、引き続き、国内の事例調査・インタビュー調査に取り組む。また、2017年11月に日本財団が公開した「『里親』意向に関する意識・実態調査」等、参考となる網羅的な実態調査(質問紙調査)が同時期に取り組まれていることから、それらの資料を参考としつつ、改めて、養育里親に関心を抱くきっかけ、登録までの心理的抵抗などの詳細を明らかにするための方法を見極める。その上で、福岡市の里親会等に協力を頂きながら、複数人のライフストーリー・インタビュー調査に取り組む予定である。また、福岡市や関連NPOに蓄積している基礎データの収集に努め、里親リクルートにつながる分析が可能か検討するとともに、近年の国内の動向を踏まえ、改めて海外調査対象主体を見極めて、平成31年度に調査実施予定である。
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Causes of Carryover |
国内事例の調査について、まずは、先行研究や文献等で見極める時間を費やしたため。次年度に調査で使用する。
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