2021 Fiscal Year Research-status Report
地域における中高年自殺予防システムの構築:地域福祉援助技術を用いた多層的予防介入
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17K04208
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
坂下 智恵 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (70404829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 博史 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (10340481)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自殺 / 地域 / 多層的予防介入 / 中高年者 |
Outline of Annual Research Achievements |
青森県内の中高年自殺死亡率の高い地域のうち、一部の地域ではうつ病スクリーニングを主軸とした自殺予防事業が実施されおり、全体的予防介入として啓発・健康教育と一般住民への自記式うつ病スクリーニングの提供、選択的予防介入として同スクリーニング陽性者への精査スクリーニング、個別的予防介入としてうつ状態有症者に対する助言とケースワークが行われている。2021年度は7市町村を対象にこれらの事業の過程評価を行った。 評価対象とした事業の対象者は、20代から70代までと自治体により異なり、それぞれの地域の自殺死亡率の状況に応じてターゲットとする年代を決定していた。中年以降では年齢が高くなるにつれ、参加率は高くなる一方、一次陽性率、精査スクリーニング参加率、うつ状態有症率に大差はなかった。20代~70代の全年代を対象に含んでいた3自治体では、40~70代(参加率45~60%台)に比べて20代~30代の参加率(35~50%台)は低かった一方、一次陽性率は40~70代が15%前後であるのに対し、20代~30代は20~25%と、いずれの自治体も若年層は中高年層に比べて5~10%程度高い傾向にあった。さらに、精査スクリーニングを経て把握されたうつ状態有症者の割合も、他の年代に比べ若干高い傾向にあった。20代~30代の高ストレス・抑うつの背景には、職場ストレス(勤務時間や業務量、人間関係など)が多くみられ、40代以降では、これらに加えて家庭問題が多く見受けられていた。必要に応じてケースワークや社会資源との連携が図られていた。 職域におけるストレスチェックでは、50人以上の事業場への実施が義務付けられているものの、ストレスチェックが努力義務となっている小規模事業場の多い地域においては、職域よりもむしろ地域の場において自治体等によるうつ病スクリーニングの施行の必要性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って、概ね当初の予定通り研究を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、うつ病予防と生活問題へのケースワークを主たる戦略とした中高年自殺予防事業の過程評価を行いながら、最終年度へ向けて本プログラムの実績と自殺死亡リスクの関連を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度予定した調査活動の規模が縮小されたため、次年度の研究費用に充てる。
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