2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on Japan and the UK comparative research of poverty reduction and benefits take-up
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17K04212
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
山本 惠子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (20309503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 隆 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (90200815)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 貧困 / 社会扶助 / 捕捉率 / 福祉権 / 捕捉 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究会は毎月定例で開催した。会場は関西学院大学大阪梅田キャンパスで、貧困問題、社会扶助、捕捉に関する日英の文献調査を行った。国際セミナーは2回開催した。1回目は「英国の子どもの貧困」をテーマとし、講師にキティ・ステュワート准教授(ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス)を招聘した。開催日時は2019年11月4日14時~16時30分で、会場は関西学院大学大阪梅田キャンパス1406教室であった。研究者や実務家が集まり、講演後に活発な議論が展開された。2回目は「生きづらさを抱える若者たち 日英の専門家の対話」で、講師はワエル・アル・アベド氏(元ユース・エンプロイメントUK職員、現ジャーナリスト)と米田光晴氏(京都ユースサービス協会・京都若者サポートステーション:チーフワーカー)であった。日時は2020年2月23日13時30分~17時20分で、会場は関西学院大学大阪梅田キャンパス1406教室であった。若者が抱える問題について、二人の講師の実践的な報告が参考になった。 論文は3本を上梓した。1本目は「試論 都市コモンズから『共を』問う ―英日の動向を踏まえて―」で、コモンズ(commons)の視点から、働くことと共同性の関連を追究した。2本目は「福祉コモンズと社会的企業」で、特に英国の就労支援型社会的企業の考察に重点を置いた。3本目は「日英の若者就労支援の動向」で、日本の若者サポートステーションと英国のプリンス・トラストを比較検討した。2020年3月に脱稿し、『地域福祉情報』ジャパン通信社6月号に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貧困削減と福祉給付の捕捉率の関係に着目し、捕捉率が高い英国の捕捉サービスと福祉権活動に焦点を当てて、日英比較研究を進めてきた。 英国の地方自治体とボランタリー団体の調査を通して得られた知見は、英国の捕捉率は概ね80%であるが、高い捕捉率の理由は社会保障制度における政府間関係に起因することである。英国では社会扶助は全額国庫負担で、地方自治体は執行機関として、福祉権の実現を目指して捕捉の向上に務めている。さらには、エイジUK,市民相談局,マクミラン・トラストなどの市民派団体が捕捉キャンペーンを強力に後押ししていることも大きな要因である。 これに対し、日本の捕捉の状況は極めて低く、福祉権を促進する社会的なキャンペーンは広がりをみせていない。この点の解明が十分ではなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
英国では、乳児を持つ世帯への追加的な扶助の廃止などの給付の削減があり、現金給付の凍結もなされている。今年度の英国調査では、これらの点を確認していく予定である。調査対象はロンドンで、キティ・ステュワート氏のヒアリングも予定している。 一方、日本の生活保護の捕捉率は依然として低く、今後は捕捉の正確な把握と、福祉権を促進する社会的なキャンペーンについて、さらに調査研究を進めていく。調査予定の地方自治体は兵庫県下の西宮市、尼崎市、神戸市などである。
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Causes of Carryover |
調査研究の最終的なフォローアップが必要であり、月例研究会の旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)