Outline of Annual Research Achievements |
高齢精神障害者の地域ケアにおける福祉と医療の連携支援へ臨み, 2017年度は地域で精神障害者とかかわる介護・看護職に向けた援助実態の聞き取りを行った. その結果, 以下を導いた. (1) 福祉と医療の垣根が低くなって, 訪問介護員による高齢者福祉と精神科医療を架橋する役割があらためて強調され (地域ケアリング 19(4), 60-64), さらに, (2) 施設内で高齢者をケアする介護職における, 適応的なフラストレーション反応の意義が示された (佛教大学総合研究所共同研究成果報告論文集 6, 169-178). また, (3) 専門職連携を福祉と医療の関わりというスペシフィックな側面だけにとどめず, 障害, 児童家庭, 高齢者などを含むジェネリックなソーシャルワークの構造内で把握する必要性に言及し (地域ケアリング 19(9), 68-72), 加えて, (4) 援助者からの視点に限らず近隣住民による態度や認識が, 精神障害者の地域移行・地域定着に及ぼす影響の最近の流れにふれた (精神科治療学 32(8), 1115-1119). 発展的な観点として, (5) 精神科ソーシャルワーカー (PSW) が病院と地域をつなぐ伝統的役割を果たしてきたが, 多職種による包括的支援が展開するなかで, 専門職性を精神科医療の社会的側面への関与と意思・判断の補助推測に回帰させており (医療社会福祉研究 26, 69-83), (6) その活動は精神保健福祉士と区別のうえ吟味されねばならず, PSWと精神保健福祉士の間の特質差が導かれ得る可能性を述べた (地域ケアリング 19(14), 46-50).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で概要を示した (1) から (6) の成果は, 科研費の申請に際し提出した計画におおむね沿って, あるいはそこより発展的に獲得され, 4年計画の初年度として所期の目標をほぼ達成し得たものである. 今後さらに, 継続して面接調査や学会発表, 論文作成などを進めていく所存である.
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