2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢精神障害者の地域ケアにおける福祉と医療の連携支援モデルの構築
Project/Area Number |
17K04218
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大西 次郎 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (20388797)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 専門職連携 / 精神保健福祉 / 医療福祉 / 介護福祉 / 精神科ソーシャルワーク / 医療ソーシャルワーク / エンドオブライフケア / スピリチュアルケア |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢精神障害者の地域ケアにおける福祉と医療の連携支援へ臨み, 2018年度は地域で暮らす精神障害者とかかわる介護・福祉職に向けた, 専門性に対する意識や地域住民との間の相互作用に関する聞き取りを行った. その結果, 以下を導いた. (1) 介護職には, 業種の枠を超えて援助者に相通じる高齢精神障害者への内的な心構え (地域ケアリング 21(4), 56-59) や, スピリチュアルケアを介して共有される職業的要素 (地域ケアリング 20(9), 72-76) がある一方, 保健医療職とは異なった固有のアプローチ (地域ケアリング 21(3), 80-83) もまた認められる. さらに, (2) 歴史的に医療機関からの退院支援を担ってきた精神科ソーシャルワーカー (PSW) は, 地域で活動する専門職の内でもピアサポート参画への親和性が高い (地域ケアリング 20(4), 86-90) かたわら, そのPSWの職責が複数職種間の役割開放に直面している現状を示し, 活動の場や支援対象の変化に由来するPSWの専門性の流動化を明らかにした (地域ケアリング 20(12), 92-95). 他方, (3) 地域移行・地域定着には住民の中に溶け込む自然さが待たれるが, 精神障害者に向けた住民からの社会防衛は, 暴力から迷惑へと認識を変えながら現代的な課題であり続けている (精神保健福祉学 6, 4-17). 地域移行・地域定着がゆっくりとでも着実に進み, 今まで以上に職種間連携が大切なことは論を待たない. これに沿って専門職の在り方自体の転換が求められるとともに, 住民の意識も質的に変化してきている. とくに後者に関しては, 多様化した社会的リスクにさらされる当事者としての把握が欠かせない. 上記の諸項目につき, 2019年度も調査の継続ならびにその結果に基づいた知見の分析に努める.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で概要を示した (1) から (3) の成果は, 科研費の申請に際し提出した計画におおむね従って, あるいはそこより発展的に獲得され, 計画の2年目として所期の目標をほぼ達成し得たものである. 今後さらに, 継続して面接調査や学会発表, 論文作成などを進めていく所存である.
|
Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に沿って, 研究の拡充を目指すことが原則である. さらに, 専門職機能の再編や, 発展的な視座としてPSWの専門性を規定する価値に対しても論考を深めていく.
|
Research Products
(8 results)