Outline of Annual Research Achievements |
高齢精神障害者の地域ケアにおける福祉と医療の連携支援へ臨み, 2019年度は3年間にわたる研究の総括を行い, 下記を得た. 精神障害者の生活の場として在宅が重視され, 福祉職と精神障害者が接する機会は大きく増えた. さらに, 医療職が中心の病院の枠を超える, メンタルヘルス上の多様な地域課題への対応がPSWに限らずSW全体に求められ, 福祉職間の連携も問われる (地域ケアリング 21(13), 104-108). そこで福祉の連携として, PSWの活動における ―国家資格の別によらない― 職種横断的な地域生活支援を示し, Community/Generic SWとして時代に応じた社会的リスクに対峙する実践像を提起した (精神保健福祉学 7, 40-53). 加えて, PSWにおける, 外的な行動表現の揺れに動じない内的な価値の維持 (ソーシャルワーカー 19, 3-15) を確認した. 他方, 統合失調症者を主とする精神科病院からの地域移行・地域定着もPSW/SWの責務であり続ける. そこで医療の連携として, 高齢精神障害の病態をわきまえた居宅生活支援がPSW/SWに求められる点に言及した (地域ケアリング 22(4), 58-62). また, 精神科領域の医療職によるコンサルテーション・リエゾン活動が, 日常診療の理解者を増やし, 自己のメンタルヘルスを向上させる (地域ケアリング 21(9), 62-65) と導いた. 高齢精神障害者のなかでも認知症者は, 本人の意向を継時的に把握したり, 認知症カフェの普及等で家族を支えたりする仕組みが整いつつある. しかし, 統合失調症者やうつ病者などは中年~初老期に至って孤立し, 自己表現も不得手で適切な福祉サービスが届けられにくい. 2020年度より, 非認知症高齢精神障害者に絞った福祉と医療の連携を基盤B代表者として研究する.
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