2019 Fiscal Year Research-status Report
精神障害当事者による主体的な服薬を実現するためのプログラムの開発
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17K04220
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松田 博幸 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (30288500)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神保健福祉 / 医療福祉 / 介護福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、エンパワメントおよびリカバリーという文脈において、精神保健サービスの利用者(以下、当事者)が主体的な服薬をおこなうのを可能にするプログラムの開発を目指す。2019年度においては、カナダ、ケベック州より、GAM(Gestion autonome de la medication)と呼ばれる、当事者が服薬を主体的におこなうことができるようになるためのアプローチの普及にあたっているセリーヌ・シーア(Celine Cyr)氏を招聘し(1/22~2/3)、講演会などの開催を通して、GAMに関する情報を収集した。加えて、GAMの背景にある、ケベック州におけるオルタナティブ運動の現状についても情報の取集をおこなった。以上より見えてきたのは、GAMにおいて求められているのは、単に減薬のためのスキルを身につけることではないということであった。GAMは、当事者が、批判的な思考を身につけることを通して生活の質を高めるための実践であり、それは、「私は人であって、病気ではない」という観点や権利の観点から展開されるものであった。そのような実践はエンパワメントの過程でもあった。そのような知見を通して、GAMは、ケベック州で展開されてきたオルタナティブ運動に通底するものであることが明らかになった。とりわけ、オルタナティブ運動における、医学モデルに対する批判的な視点や、医学モデルに対抗するアプローチを創り出す実践が、GAMの原理と密接に関連していることが見えてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外から実践者を招聘して情報を収集することはできたが、招聘時期が年度末に近い時期にズレたため、得た情報をもとに、主体的な服薬を可能にするプログラムの素材を作成する作業を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた情報や知見を具体化し、主体的な服薬を可能にするプログラムの素材を作成する作業を進める。具体的には、カナダ、ケベック州において展開されているGAMにおける基本的な考えや具体的な内容をまとめた冊子を作成する。そのような冊子は、精神科治療薬と人のライフ(生活、人生、生命)との関係がどのようにあるべきなのかを明らかにするだけではなく、わが国において精神科治療薬の服薬をめぐってさまざまな困難を体験している人たちが、自らの生活の質に焦点をあて、精神科治療薬が自らのライフに及ぼしている影響を自覚し、かつ、薬や専門職者とどのように適切な関係を作っていけばよいのかを学ぶための有効なツールになると考えられる。
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Causes of Carryover |
当初、9月頃にカナダからセリーヌ・シーア氏を招聘する予定であったが、シーア氏の都合により、来日が1月下旬になり、プログラムの素材の作成が遅れたため次年度使用額が生じた。2020年度においては、プログラムの素材の作成のために繰越額を使用する。
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