2020 Fiscal Year Research-status Report
精神障害当事者による主体的な服薬を実現するためのプログラムの開発
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17K04220
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松田 博幸 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (30288500)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神保健福祉 / 医療福祉 / 介護福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、カナダのケベック州及びブラジルにおける、GAM(Gestion autonome de la medication)の作成過程とそれぞれの社会的背景を明らかにする作業をおこなった。具体的には、ケベック州において2003年に発行された英語版(以下、初版)と2019年に発行された英語版(以下、第2版)の内容の比較をおこなった。また、両方の版の開発に関わったCeline Cyrより聴き取り調査をおこない(オンライン)、それぞれの版の作成過程を明らかにした。また、文献(Rosana Teresa Onocko Campos et al. 2012)をもとに、ブラジルにおけるポルトガル語版がどのような作成過程を経て作り出されたのかを把握した。そのような作業を通して見えてきたことは、①初版においては、服薬している本人の生活の質に焦点があてられているが、第2版では権利に焦点があてられていること、②その理由として、ケベック州におけるオルタナティブ運動の影響力と権利主張運動の影響力との間のバランスの変化が考えられること、③ブラジルにおいては、専門職者が服薬当事者が参加するグループワークを通して翻訳版に手を加え、独自の内容のワークブックを作成したことが明らかになった。とりわけ、オルタナティブ運動の視点と権利主張運動の視点の相違がワークブックの構成に影響を与えたという点は、今後、服薬をめぐるワークブックの性格の社会的意義を考える際に示唆に富むものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大により、出張等を通した、研究に関する情報の収集が充分にはできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度までに得られた情報や知見に、2020年度においてワークブック作成過程に関して新たに得られた情報や知見を加え、主体的な服薬を可能にするプログラムの素材を作成する手順を具体化する。そして、カナダ、ケベック州において展開されているGAMにおける基本的な考えや具体的な内容をまとめた冊子を作成する。そのような冊子は、精神科治療薬と人のライフ(生活、人生、生命)との関係がどのようにあるべきなのかを明らかにするだけではなく、わが国において精神科治療薬の服薬をめぐってさまざまな困難を体験している人たちが、自らの生活の質に焦点をあて、精神科治療薬が自らのライフに及ぼしている影響を自覚し、かつ、薬や専門職者とどのように適切な関係を作っていけばよいのかを学ぶための有効なツールになると考えられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、情報収集のための出張等ができなかったため次年度使用額が生じた。令和3年度においてはその金額を情報収集のための旅費等に充てる予定である。
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