2020 Fiscal Year Research-status Report
要保護児童対策地域協議会の機能発揮を促進するための研究プログラム開発
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17K04224
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
松宮 透高 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (10341158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 聡子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (30582382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子ども虐待 / 研修プログラム / 要保護児童対策地域協議会 / チームマネジメント / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、延長後のまとめとして実際に研修プログラムの試行評価を行い、修正を加えた後で報告書、さらにはテキスト刊行に取り組む計画であった。しかし、コロナ禍のため研修機会ましてや受講者からの評価を受ける機会が無くなり、計画修正を図らざるを得ない状況になった。そこで、出張を伴わず取り組める追加調査を実施し、要保護児童対策地域協議会の基盤強化にもつながる「市区町村子ども家庭総合拠点」設置状況の把握を試みた。年度内にその調査票回収を終えたた。 これまでに、①文献レビュー、②要保護児童対策地域協議会におけるケースマネジメントとチームマネジメントの運営実態およびその研修ニーズに関するグループインタビュー調査、③2017年度と2019年度の都道府県・政令市による要対協研修の開講実態調査、④実際の研修受講者に対する試行評価アンケート調査(一部)、そして2020年度に追加調査を行った、⑤子ども家庭総合拠点全国調査、に取り組んできた。それぞれ、意義ある知見を得ることが出来た。 その第1は、研修プログラムの評価が概ね好評であったという点である。自由記述欄等で追加すべき事項への意見などの情報が得られたが、その反映作業の継続と修正版の研修における評価は延長後の課題となる。第2に、要対協研修の開講実態の把握が進展したことがあげられる。実施体制や参加自治体の拡大は把握できたが、カリキュラムに位置付けられていないメンタルヘルス問題についてはまだ不十分さがうかがわれる。要対協へのグループインタビューにおいても、必要な情報としてスタッフケアなどのチームマネジメントや、貧困世帯への対応、メンタルヘルス問題のある保護者への対応などには課題が指摘されており、その改善に向けた研修ニーズは高いことが把握できた。これらの知見をもとに、引き続き、最終版のプログラム開発に取り組みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように、暫定的に策定した研修プログラムの試行評価機会がコロナ禍で失われ、十分な進展が得られなかった。研究予算も残額が大きいため、特例の延長措置を活用し、再度チャンスを得たいと考え、延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を公表し、全体をまとめた報告書を作成するとともに、試行評価調査を追加実施する予定である。これにより、研修を取り巻く背景、その実施状況、今日的課題に照らして必要とされる研修プログラムの検討、絵までの研究知見に基づく研修プログラム案として、①メンタルヘルス問題のある親への理解、②世帯の貧困と複合要因がもたらす孤立への理解、③チームアプローチとスタッフ育成を促進するチームマネジメント、といった観点を加味した研修プログラムの開発と可能であれば試行評価、これら知見を総合した報告書の作成と可能であれば刊行、に向けた取り組みを展開する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた各要対協でのヒアリング調査のほか、研修会場でのプログラム試行と受講者からの評価を受ける機会が得られなかったため。それまでの年度ではコンスタントにその機会があったため前提を対面型の研修機会があるものとしていた。コロナ禍で中止やオンライン化が進み、演習型のプログラムが不可能となった。今後は、オンライン状態でも開講可能な演習プログラムの工夫と、参加者からのプログラム評価をオンライン上で得られる方策を整えて再度機会をうかがう予定である。
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