2017 Fiscal Year Research-status Report
A Development of Evacuation Method with Assistance on Fire Drill
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17K04232
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
宮坂 智哉 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (10404758)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自力避難困難者 / 避難 / 身体介助 / 高齢者施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.高齢者施設入所者の避難能力の検討 調査した高齢者施設について、「介助避難プログラム」の開発に必要な情報を抽出した。対象は認知症高齢者グループホーム、介護ショートステイ、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、療養型老健施設合わせて16施設で対象者は265名とした。抽出内容はプログラムの「準備」の項目、「訓練」における避難時の身体介助動作に関連する運動機能、認知機能、日常生活動作能力、介護の種類、量とした。 2.介助避難方法の検討 調査結果から、身体介助を伴う避難方法について検討し実験を実施した。避難方法は1.ベッド上仰臥位からベッド上前端に引き寄せ、床上に降ろして引きずって避難する方法、2.ベッド上仰臥位から端座位に介助し、その後立位介助をして介助歩行により避難する方法、3.ベッド上仰臥位から端座位に介助し、その後車椅子に移乗して介助移動により避難する方法の3種類を検討し、それぞれの避難方法について実験を実施した。いずれの実験も被験者は20歳以上の健常者20名とし、介助者役、被介助者役が1組となり、交代して実施した。 実験1.;被介助者役は介護ベッド上で仰臥位となり、その腰部にフック付きのベルトを装着し、デジタルフォースゲージを装着した。介助者役はベッド前面に配置し、デジタルフォースゲージを引っ張ることにより、被介助者をベッド上前端に引き寄せる動作をして、その介助量(引っ張り力(N))を計測した。 実験2.3.;被介助者役は介護ベッド上で仰臥位となり介助者役はベッド上仰臥位から端座位、立位介助(実験2)、ベッド上仰臥位から端座位、車椅子移乗(実験3)の介助動作を、日常の介助動作、避難を想定した介助行程を短縮した動作の2つの方法で実施し、それらの行程を動画で記録し、動作行程を相に分割してそれぞれの経過時間を集計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者施設で介助を伴う避難方法として複数の方法を提示でき、その結果を今後の研究に継続的に活かせることができた。また計画通りの進行であるため、概ね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の計画 上期は前年度の研究を継続し、プログラムの基本構成を決定しリーフレット素案を完成する。「訓練」における介助避難のイラストは、実験で取得した動画データから身体介助の目安になるシーンを画像として抽出し、イラスト変換アプリを用いてイラスト化する。介助避難の行程に応じてイラストを組み合わせ、リーフレット中央面の上から下へ配置する。 下期は健常者を被験者としてプログラムを試用して修正、改善をはかり、フィールド評価用プログラムのリーフレットを完成する。 平成31年度の計画 上期は認知症高齢者グループホーム、老人保健施設、特別養護老人ホームに対してフィールド評価(図7)を実施する。対象は10 施設を目標とする。また研究協力負担を勘案して、1 施設あたり1 名の介助避難の実施とする。研究者は予め内容を説明した上で、施設担当者から介助避難の行程(ベッド上→車椅子移乗→車椅子移動→退避場所に座位など)を聞き、行程に応じた身体介助イラストを入れたリーフレットを渡す。施設担当者はリーフレットをもとに入所者(模擬入所者)避難の「準備」を実施し、「訓練」を実施する。研究者は火災避難訓練の状況を調査する。施設担当者は訓練終了後に「振り返り」、「見直し」を実施する。施設担当者は「介助避難プログラム」の実施状況、効果の有無、改善事項などの評価を調査票に回答する。 下期は評価結果を集計、考察し、プログラムの効果を検証する。避難介助動作で修正や改善が必要となった場合は身体介助動作を解析する追実験を実施する。検証結果をもとに研究成果のまとめを実施する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する機材が計画よりも安価なものを導入できたため。
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Research Products
(2 results)