2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者と家族介護者への社会福祉専門職を中心とした支援ネットワークの形成
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17K04233
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
黒澤 直子 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 教授 (60382529)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / 家族介護者 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は主に下記の3点を実施した。 1.認知症の人の家族介護者への調査から、家族介護者が抱える困難の要因のなかでも「環境的要因」に着目し、詳細な分析を行った。環境的要因は【制度・資源】【家族・親族】【周囲・近隣】の3つに分類し、各側面から検討した。【制度・資源】では、医療や介護、そこに関わる専門職との関係性が主要な要因として挙げられ、専門機関や専門職にも理解されない不安や失望がみられた。【家族・親族】では、身近な人の協力や理解の欠如が家族介護者にとって大きなストレスとなっていることがわかった。身近な人だからこそ理解してほしいという思いの表れでもあると考えられる。【周囲・近隣】では、他者へ迷惑をかけることの恐れや理解されないことへの失望などが挙げられた。周囲とのトラブルを避けるために家族介護者は困難を抱え込んでしまう。家族介護者が抱える困難さは、介護そのものだけではなく、このような環境を要因とするものがあり、介護負担感にも影響している。さらに、環境的要因は制度や施策の改善などによって取り除くことが可能であることに言及した。 2.認知症家族介護者の仕事と介護の両立に関する検討を行った。認知症の人の家族介護者への調査から、仕事と介護の両立を行っている事例を取り上げ、介護生活開始前後の状況からの語りを詳細に検討していく方法を取り、認知症の人の家族介護者が仕事と介護を両立する上でどのような支援が有効であるか検討した。介護休業等の制度を使う前段階として、介護保険制度の使い方や認知症とは何かを知る機会を職場のなかで設けるなど、今後は離職を予防する方策が有効ではないかと考えられる。 3.認知症の人とその家族の支援に関する関係機関として、認知症診療を行っている医療機関、認知症疾患センター、地域包括支援センターへのアンケート調査を実施した。現在集計中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、海外視察が中止となった。 また、同じ理由により、対象者へのインタビュー調査ができず、当初予定していたスケジュールで進まない状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染状況によるが、対象者への個別のインタビュー調査や海外視察は難しい状況が続くと考えられるため、対面ではない方法での調査など、他の方法に切り替えて進めていくよう検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大により、予定していた海外視察が中止となったため。
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