2018 Fiscal Year Research-status Report
地域資源を有効活用し低予算で実現する除雪ボランティアの普及に向けた研究
Project/Area Number |
17K04235
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 和幸 弘前学院大学, 社会福祉学部, 教授 (00347832)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低予算で実現する除雪ボランティア / 地域資源の有効活用 / 経費節減の工夫 / 社会福祉協議会のコーディネート / 活動継続のための体制づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
地域資源を有効活用し低予算で実現する除雪ボランティアの取組事例として平成30年度は北海道千歳市、岩内町、岩手県西和賀町、秋田県大仙市、美郷町、新潟県見附市で行われている除雪ボランティアの取組を調査対象とした。これら6つの取組を対象にした理由は、概ね20万円以下の費用で取組んでいるにもかかわらず、①数百名規模の参加数があったり、1冬期シーズンに複数回の活動を展開することで延べ訪問先件数が100件を超えたりする活発さがみられ、②活動日に来訪者の参加を妨げないものの活動の担い手を地元地域で賄うことができているという共通した特徴があったからである。千歳市・岩内町・西和賀町・大仙市・美郷町の取組については支援機関である各市と町の社会福祉協議会事務局に、見附市の取組は市が支援機関となっているので市まちづくり課に協力を求め、運営に係る資料収集と聞き取り調査を行った。また適宜、取組実施団体からも情報提供をもらい補足した。 現地調査により、各取組の活動開始のきっかけ、毎年継続していくための体制づくり、発生した課題とその克服方法といった組織の成長に欠かせない情報が得られた。また、活動費の捻出や経費節減のための工夫、地域資源の有効活用に関する情報が多数得られた。これら収集した情報をもとに「地域資源を有効活用し低予算で実現する除雪ボランティアの事例研究(第2報)」と題して報告書にまとめた。報告書は、調査対象地である市と町の社会福祉協議会、見附市、取組実施団体および国土交通省国土政策局克雪体制推進係(地域共助除雪推進担当)等へ送付し、これにより研究成果を還元した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した低予算で実現している6つの地域の除雪ボランティア(概ね事業費20万円以下、数百人の参加者あるいは一冬期シーズン複数回実施し延べ訪問件数100件を超える規模の活動で、原則として地域内で担い手を賄うことが出来ている)の取組について実際に現地を訪れ調査を実施できた。また、調査結果について報告書にまとめ、調査対象地域の社会福祉協議会や関係行政機関にも送付することができた。これにより平成30年度に予定していた調査の実施および成果の取りまとめ作業を終えることができた。 平成29年度に実施した地域資源を有効活用し1万円以下の事業費で取り組む中学校の除雪ボランティア(岩手県北上市、山田町、山形県尾花沢市)の現地調査から得られた知見については、平成30年度において日本社会福祉学会東北部会で研究報告を行い、合わせて弘前学院大学社会福祉学部研究紀要に論文として掲載した。 以上より、本研究は概ね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に行った6つの地域(千歳市、岩内町、西和賀町、大仙市、美郷町、見附市)の除雪ボランティアの取組に関する事例調査から得られた知見、研究成果を関連学会にて報告していきたい。また、2019(令和1)年度は、地域外からも積極的に担い手を募集・受け入れし住民との地域交流活動と連携しながら、低予算で除雪ボランティア活動を実現している取組を調査対象としたい。具体的には、山形県尾花沢市、新潟県南魚沼市、糸魚川市、滋賀県米原市の4つの取組について、現地を訪問し資料収集と聞き取りを行い、成果を報告書としてまとめたい。 また、本研究から得られた知見により「地域資源を有効活用し低予算で実現している除雪ボランティアの取組報告概要(ダイジェスト版)を作成し、豪雪地帯指定532市町村に配布したい。
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Causes of Carryover |
平成30年度の調査対象地のうち秋田県大仙市と美郷町については、研究代表者である高橋和幸の生家のある横手市の近隣であったため、宿泊費を必要せず、その分節減できた。当初予想していた旅費よりも安価となったためである。次年度は新潟県や滋賀県といった遠方への訪問調査を予定しているので、その旅費に充当したい。
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Remarks |
平成29年度研究成果の一部を活用し(Study Notes) K.takahashi" Investigation in the social environmental causes behind Doing or not Doing Voluntary Snow Removal in Japanese snowy areas" 青森大学研究紀要,2018年,第41巻1号,125-144に掲載。
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