2017 Fiscal Year Research-status Report
Effect of the VTR for education to promote the social participation of the cognitive disorders caused by acquired brain injulies
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17K04242
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
會田 玉美 目白大学, 保健医療学部, 教授 (60406569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 孝 目白大学, 保健医療学部, 教授 (70158202)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 医療福祉連携 / 職業リハビリテーション連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は平成29年度から平成31年度の3年間に,高次脳機能障がい者のすみやかな就労や社会参加を目指すために,障害に対する自覚の経験と理解のプロセスを取り入れた高次脳機能障害の教育用VTRを作成し,障がい当事者および家族の障害の理解、医療福祉連携の促進に対するその効果を検討することを目的としている. 平成29年度は本研究の1年目であったため,主にデータ収集のプロセスを行い,前年度までの科研費基盤(C)研究の成果を中心に、論文1件,学会発表1件,海外学会発表2件を行った.また「高次脳機能障がい者の社会参加を促進するために」と題する国内講演4件(高次脳機能障がい者家族会の招待講演2件,地方公共団体の依頼による講演1件,埼玉県作業療法士学会の講演1件)を行った.それを通じて当事者・家族の意見を聞き,また国内外の専門家と本研究に関する情報交換を行った.本研究の進捗を利用した研究業績は,高次脳機能障がいの理解を促すVTRのコンテンツを作成するためにアンケート調査の実施および当事者家族の語りを収集したが,1年目であったため論文発表および学会発表はできていない。 アンケートの結果及び当事者・家族の語りから,高次脳機能障がい者が公的支援の対象となって6年がたつが,いまだにモデル的な地域以外の医療福祉連携は乏しく,特に回復期リハビリテーション分野の高次脳機能障がいの地域支援に関する理解が低く,職業リハビリテーションや復職のサービスに円滑につながっていない実態が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は高次脳機能障がい者の障害の自覚を促進する教育用VTRを作成し,その効果を検討することである. まず初年度となる平成29年は、高次脳機能障がい者の障害の自覚と社会参加を促進する教育用VTRを作成するための情報を収集することを目的に,高次脳機能障がい者とその主介護者へのアンケート調査を実施した.そして協力の得られた家族会の集会に参加し,当事者及び家族の障害を負ってから現在までの実体験の語りを収集した。 アンケート調査は選択式および自由記述式の両方を採用し,高次脳機能障がい者の障害の自覚の経験,社会参加に至るプロセス、困ったことや手掛かりとなったことなどを調査した。対象者は特定非営利活動法人東京高次脳機能障害協議会(TKK)の協力を得て、高次脳機能障がい者および家族に調査を依頼した。都内9か所の高次脳機能障がい者家族会の協力を得られ、会員(障がい当事者および家族)にアンケートを配布、当事者約90名、家族約80名の回答を得た。現在、残ったもう1か所の高次脳機能障がい者家族会との調査依頼が進行している.そして収集したアンケートデータの集計を行っている。また当事者及び家族の実体験の語りは9名のデータを収集した。その中の対象者から,本研究の目的であるVTRへの出演の内諾も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査結果、障がい当事者と家族の口頭データの分析を行う。国内外の学会で発表し、医療福祉連携を促進するためのVTRのコンテンツを作成する。またVTR作成の準備として出演者の選定、シナリオ原案の作成、映像制作および撮影者の選定を行う。 VTRが完成した後、効果測定のためのVTR視聴を板橋区、練馬区の急性期・回復期病院および高次脳機能障がい者支援施設に依頼し、高次脳機能障がい者とその家族,支援者の高次脳機能障がいとその社会参加への理解に関する視聴前後の比較を行う。 いまだにモデル的な地域以外の医療福祉連携は円滑に進んでいるとは言えず、なかなか職業リハビリテーションや復職のサービスにつながらない実態がアンケート調査及び語りから明らかになっている.当初作成予定のVTRは障害当事者と家族向けのものであったが,医療従事者が見ても高次脳機能障がいをより理解し医療福祉連携を促進するものでなければならないと考えている.
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Causes of Carryover |
平成29年度は本研究のVTR作成のための情報収集を主たる実績としている。アンケート調査および口頭データ収集も途中経過であり終了していないため,残額が生じている.今後コンテンツ作成、シナリオ作成、出演者への謝礼、映像制作などに経費をを使用する予定である.またアンケート調査の結果を国内外に広く発表し,意見をもらう計画である。
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