2018 Fiscal Year Research-status Report
International Comparative Study on Ageing in Place and Informal Support
Project/Area Number |
17K04251
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
松岡 洋子 東京家政大学, 人文学部, 准教授 (70573294)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エイジング・イン・プレイス / インフォーマル・サポート / 専門職との協働 / アセット・ベイスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本・オランダ・デンマークの高齢者領域におけるインフォーマルサポート(IS)の実態を整理し、介護看護の領域でどのように機能して効果を上げているかを概念整理し、量的調査(日本)で検証することを目的としている。平成30年度は、日本において専門職インタビューを行い「意義・効果」に関する質的調査を行い、海外ではオランダを対象として同様の調査を行うことを目的とした。 日本においては定期巡回サービス事業所(10事業所14人)に限定することなく、ISを活用する総合事業の現場訪問(3自治体)で得たデータも分析に加えた。「インフォーマル資源活用の位置づけと課題・可能性」をテーマに絶えざる比較法で分析した結果、「インフォーマル評価の乖離(損する/ラクになる)」「ISで絆強化・まちづくり」「多様な資源・なじみの店も上手に活用」「これまでどう生きてきたかが影響する」など4つのコアカテゴリーが生成された。 オランダ調査は2018年8月と2019年2月に行い、ボランティア(VL)を擁して自治体の社会サービスを提供している福祉組織(4)、自治体の総合相談窓口ソーシャル・バイク・チーム(SWT)(3)を訪ねて、ISの実態を調査した。介護保険事業所(4)を訪問して専門職のIS観も加えてその特徴を分析した結果、①インフォーマルだからこそできる価値を専門職が認めている、②サービス基盤としてのVL、③BLを戦力として研修のシステム化、④専門職との明確な切り分け、⑤自治体の統治、などが特徴として抽出された。地域の資源をアセットと表現する文献も見られた。 高齢者に限定(日本)、普遍的(オランダ)など対象が異なるなどの相違があるが、日本では、①専門職によってVL価値が認められておらず、②VLが基盤ではなく補完、③研修も未整備、⑤自治体の統治が弱い(自治体間格差が大きい)、などの違いが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内調査では2018年は専門職インタビューを行なって、インフォーマル・サポートの意義・効果に関する「概念・カテゴリー」を抽出することを目的した。これは、2019年度に向けた準備であったが、ほぼ目標を達成できたと考えられる。が、さらに調査を継続したいと計画している。 オランダ調査については、インフォーマル・サポートの実態や意義についての調査は目標に達している。日本との比較において介護保険事業所の専門職者へのインタビューがやや不足している感がある。しかし、オランダの実態や理念を介護保険事業者からの情報のみで理解するのは狭隘な偏りを生む危険性があるので、より広く福祉組織を対象とした調査としたので、機会があれば補足調査を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は定期巡回サービス事業者を対象としたアンケート調査を予定している。2019年度前半に日本の専門職インタビューを継続したのち後半にアンケート調査をするのか、量的調査を2020年度に持ち越すのか、前半の進捗状況を見て判断する予定にしている。 さらに、2019年度計画では海外の調査対象をデンマークとしている。しかし、デンマークではボランティアは公共がなすべき領域とは一線を画している、自由選択ができるとはいえ、介護・看護については自治体が独占的にサービス提供しており介護保険は存在していないため日本とは大きく異なる。しかし、ボランティア活動はさかんでさまざまに行われていることは事実である。対象国をイギリスに変更する可能性があるため、2019年度はイギリスのインフォーマル・サポート調査のフィジビリティを考慮しながら最終決断をする。デンマーク、イギリスの両国において行う可能性もある。
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Causes of Carryover |
2017年度はオランダ調査を予定していたが、他の研究機関からのオランダ出張を夏休みに行うこととなり、科研費による調査訪問ができなくなった。他では時間がとれないため空き時間を活用して本研究の調査を行なった。また一部重複する部分もあったので目標は達成できたが、そのため旅費支出がなかった。日本調査についても個人研究費を活用できたので、目標は達成できたが多くの残額が生じ、2017年度からの繰り入れが90万円であった。2018年度はオランダ調査を取り戻すべく夏と2019年冬の2回調査を行ない、日本においての調査も定期巡回サービスを順調に進めている事業所を10事業所訪問することができデータを収集することもできた。が、繰り越し金額が多く、次年度に繰り越すこととなった。
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Research Products
(9 results)