2020 Fiscal Year Research-status Report
International Comparative Study on Ageing in Place and Informal Support
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17K04251
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
松岡 洋子 東京家政大学, 人文学部, 准教授 (70573294)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インフォーマルサポート / フォーマルケア / エイジング・イン・プレイス / 地域資源活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
「エイジング・イン・プレイス(地域居住)」においてインフォーマル領域(IS)への期待が高まっている。そこで、訪問インタビュー調査を通じて、日本・オランダ・デンマークにおけるIS活用の意義や効果についての実態把握と概念整理を行うこと、さらにその概念に沿って日本での状況を比較し、インフォーマル・サポート(IS)のゆたかな発展に資する提言を行うことが、本研究の目的である。令和2年度は最終年度にあたり、未達成部分についての追加調査と全体総括を予定していた。新型コロナウイルス感染拡大によって海外追加調査、国内訪問調査ができなかったため、延長を願いた。そして、これまでの調査分の総括を試みつつ、小冊子にまとめたり、書籍化にあたっての原稿執筆を進めた。 1)オランダにおけるインフォーマル資源活用は「インフォーマルファースト」であり、「制度的サービスはISの補完」の位置づけでさえある。ボランティアを活用する「福祉組織」が多く存在し、各自治体では「総合相談窓口(SWT)」を設けて、専門職とボランティアの協働を進めている。ISの意義として「セルフマネジメント」「隣人・友人としての近さ」「本人の力に焦点化した時ISが有効」「不可欠の存在」などが抽出された。 2)デンマークでは、ISは「制度補完型」であり、2015年の「尊厳政策」においてボランティア振興を強化している。制度の隙間を埋めることが主たる目的であり、全国的な民間組織がある。 3)日本における総合事業の先進自治体、小規模多機能型居宅介護へのIS活用に関する調査からは、「その人らしい暮らし」「できるへの焦点化」「ISはその人の人生を知る」「ISと専門職の区別」などが抽出されている。 海外と比較した際、その意義には類似性があることが確認できた。しかし、層の厚さや基盤形成、組織化、専門職連携の側面では明らかな相違が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度にあたり、情報不足の点については、海外追加調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大によって、これができなかった。令和元年度までの調査で総括はできるまでに調査を行っていたので蓄積されたデータからの分析は進めることができた。 一方、日本での調査(専門職対象)が思うように進まず、オンラインでのインタビューなども取り入れた。が、結果的には不足しているので、延長が受理された令和3年度にこの遅れを取り戻し、海外との比較が行えるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ISが進む中で、専門職からの「職を奪われるのではないか」という不安や妬みの感情があったことが確認できている。こうした内容も含めて情報が収集できるように、日本における介護保険事業所を対象とした半構造化インタビューを継続する。最終的には、ISの意義を整理して、ボランティアを活用する組織・制度(マクロ)から、専門職の意識(ミクロ)までを広く比較することを目指す。海外調査(オランダ・デンマーク)については、情報を補充したいが、令和元年度も渡航の可能性は低い。オンラインでの可能性を探りつつ、補充する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大によって、海外調査・国内調査を行うことができなかった。令和3年度への延長が認められたので、国内での介護保険事業所の専門職を対象とした半構造化インタビューを継続する。謝礼とテープ起こしの費用が発生する。日本でもオンラインでのインタビューを視野に入れる。 また、デンマークとオランダの追加調査(オンライン)ができるどうかは不透明だが、これらのコーディネート料、通訳料を予定している。 定量調査については、状況(介護現場の多忙性)を考慮しつつ可能性を探りたい。
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Research Products
(13 results)