2017 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者の貧困・社会的排除の予防に向けた家族支援・早期支援に関する学際的研究
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17K04253
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
佐藤 絵 (清野絵) 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (00584385)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神障害 / 貧困・社会的排除 / 家族支援 / 早期支援 / 発達障害 / 就労支援 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】本研究の目的は、精神障害者の貧困・社会的排除を予防する家族支援・早期支援のあり方を明らかにすることである。【研究実施の内容】①文献調査として、精神障害者と貧困・社会的排除、精神障害者の家族支援・早期支援、支援システムについて情報収集、整理、レビューを行った。特に支援システムについては、効果が高いことが想定される住居支援、包括的地域生活支援、包括的マネジメント、移送支援等を中心に文献調査を行った。②精神障害者を支える家族を対象とした実態やニーズの調査の準備として、文献調査、家族が参加する学会や研修会等への参加により、精神障害者および精神障害者を支える家族の貧困・社会的排除の実態と必要な家族への支援について、調査に必要な項目の検討を進めた。③精神障害者の支援と共通する課題があると推測される、高齢者、発達障害者等についてもその支援のあり方について文献やデータに基づいて検討を行った。【研究の成果】①障害者の貧困の解決に資するために、貧困問題における高齢者の課題について文献レビューを行った。その結果、障害者の約2割以上が相対的貧困の状態にあること、生活困窮者を支援している団体のつてい高齢者に日常的に対応している機関が約1割以上である等の実態が示唆された。また、障害者や高齢者の貧困への支援として、多機関、多職種が連携した包括的で継続的支援や、居住支援の必要性が示唆された。②障害者の社会参加、自立の促進に資するために、発達障害者の就労について文献レビューを行った。その結果、障害者が地域の「受け手」であるだけでなく、「支え手」として活躍するためには、就労を通した社会参加は一つのあり方であることが示唆された。一方、発達障害のある学生が社会に出て活躍するためには、大学における就労支援の困難さがあること、関係機関の連携や連携体制の整備が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、当初予定していた障害者を支える家族を対象とした調査が実施できなかった。理由は、調査実施の準備として、情報収集、文献調査、関係者への聞き取りを行う過程で、当初対象と考えていた精神障害以外に、類似した課題を持つ対象として発達障害等があることが示唆されたためである。また、同様の研究の過程で、当初想定していた以上の多様な課題があることが示唆されため、調査設計や実施計画の準備に、さらに時間をかけたほうが適切であると判断し、当初予定していた調査の実施は時期を遅らすこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、当初の研究計画に基づき、計画を実施する予定である。ただし、研究の過程で既に得られた情報や成果に基づき、研究計画やアプローチの方法については、適宜見直しや修正を行うこととする。なお、新たな課題や調査の必要性が生じた場合は、必要に応じて共同研究者と検討を行う、あるいはその領域の課題に精通した研究分担者や連携研究者を追加したりする等して研究が円滑かつ効果的に実施されるよう対応する。
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Causes of Carryover |
調査実施を1年遅らせることにしたため。
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