2017 Fiscal Year Research-status Report
「ヤングケアラー(ケアを担う子ども)」の実態と発見手法の開発
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17K04256
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
宮川 淑恵 (濱島淑恵) 大阪歯科大学, 医療保健学部, 准教授 (30321269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 雅充 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (40389010)
南 多恵子 京都光華女子大学, 健康科学部, 講師 (10455040)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヤングケアラー / 介護者支援 / 家族福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究メンバーとの定期的な研究会の開催、大阪府の高校で実施したヤングケアラーに関する調査の分析、検討を行い、ヤングケアラーの実態(ケアを要する家族、ケアの内容、ケアの頻度、時間、期間等)をまとめた。その結果、ヤングケアラーの存在割合は5.2%となり、これまでの先行の教員を対象とした調査研究に比べると高い数値が示された。また、ケアを要する家族は祖父母が最も多く、この点も教員調査とは異なる結果を示した。その他、ケア内容は家事が最も多く、この点は教員調査と同様の結果となった。また、教員調査では示されなかったケア時間や期間も示され、小学校からケアを担っている者の存在や学校がある日の2時間以上かつ学校がない日に4時間以上ケアしている子どももいることがわかった。 これらの結果の学会等での報告(日本社会福祉学会、日本教育情報学会、京都市ユースサービス協会ヤングケアラー事例検討会、日本ケアラー連盟拡大研究会等)、現場の教育、福祉関係者への報告、当事者も交えた意見交換会(池田市地域包括支援センター、生野区社会福祉協議会、関西学院大学梅田キャンパスでの勉強会等)を実施した。 これらを通して、ヤングケアラーに関する周知を進めるとともに、ヤングケアラーに関する現場の教員、福祉専門職の知見、調査結果に対する意見等を収集し、追加調査の設計に役立てた。また、この後に予定しているインタビュー調査、スクリーニングシートの検証を実施するためのネットワーク形成を進めた。 以上の議論、意見を踏まえて、2017年度は、研究会で追加調査の調査票について議論し、改良を加え、現在、ほぼ完成している。また、2月以降は追加調査の協力依頼を自治体、高校等へ開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度初めはインタビュー調査から実施することを予定していたが、ネットワークを広げてから行なうことが適切と考え、2017年度はヤングケアラーの周知とネットワークの形成を進めながら、追加の質問紙調査から実施し、2018年度、調査票の配布、回収の期間中にインタビュー調査を実施することとした。それを踏まえると現在の進捗状況は概ね計画通りに進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は次のことを実施する。第1に高校における追加の質問紙調査を実施する。2017年度末から開始した追加調査の協力依頼を夏休みまでを目途に行う。今回は調査対象の範囲を全国に広げて行うこととする。現段階では関西圏の3府県、四国、北海道、関東の高校を検討しており、打診を始めている。また調査票の完成をまち、大学の倫理委員会にかける。倫理委員会の審査を経て、調査協力の同意が得られた高校から、順次、調査票の配布、回収を行う。時期は高校の2学期から3学期を考えている。第2にインタビュー調査を実施する。9月までに質問項目を議論、整理する。また、ヤングケアラーとその家族へのインタビューを実施するため、既にメンバーが有している福祉関係のネットワークから協力者を募ることを計画している。10月以降を目途に、順次インタビュー調査を実施する。第3に2017年度から引き続き、大阪府調査の成果報告と意見交換、ヤングケアラーの周知とネットワーク形成を続ける。
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Causes of Carryover |
主として調査票の印刷に多くの予算を取っておいた。当初は2017年度末に調査票を完成させ、印刷、発送を行う計画であったが年度末には間に合わなかったため、次年度使用額が生じた。現在、調査票はほぼ完成しており、倫理委員会を通過後、印刷し、調査協力の同意が得られた高校へ順次発送する予定である。
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