2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Effects of Changes in Accessibility for Long-term Care Services on the Disparities among the eligible of Long-term Care Insurance
Project/Area Number |
17K04264
|
Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
川村 顕 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 教授 (10422198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 価格弾力性 / 介護レセプト / 自己負担率 / 介護保険制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国において2000年4月に介護保険制度が施行されて以降、高齢化の進展が介護サービス利用者増を促してきたと同時に、介護保険サービス供給も量的拡大が続いてきた。しかし、これら介護サービス市場の拡大は、必要な人に必要なサービスが行き届いていることを必ずしも意味しない。そこで、介護サービス利用者のサービスの利用しやすさ(アクセシビリティ)が実際のサービス利用にどう影響するかを研究課題とした。 アクセシビリティにおける重要な要素にサービスの価格があるが、その指標としての価格弾力性に関しては既存研究で必ずしも明らかになってきたとはいえない。そこで、価格と需要量との関係を検証するために、2006年1月から2015年12月までの月次介護保険レセプトと人口動態死亡統計の各個票データを用いて、10%の自己負担率を持つ被保険者と自己負担が不要な被保険者をマッチングさせたプロペンシティスコアによるサンプルを構築し、固定効果推定を実施した。その結果、10%ポイントの自己負担率の低下は、月額費用を10.2千円増加させ、価格弾力性は約-0.1であることがわかった。 最終年度は、1)2015年8月に一部の要介護認定者の自己負担率改定による介護サービス利用の変化の影響、および、2)アクセシビリティを規定する別の要因である介護サービス供給主体の参入・退出とサービス利用量との関係、について、居宅サービスに焦点を当てて分析した。1)に関しては、データの制約上、自己負担率変更後の期間が極めて短いこと、および、対象が現役並みの所得を持つ被保険者であることに課題があるものの、利用日数(回数)の減少は確認できたことから、今後の研究の道筋をつけることができた。2)については、一貫性のある解釈には至らなかったものの、即座に分析可能なデータ構築プログラムを作成できたことから、今後発展的に研究を遂行することが可能となった。
|