2018 Fiscal Year Research-status Report
多人数の社会的場面におけるソーシャルスキル向上のための工学支援技術の研究
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17K04266
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯浅 将英 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (80385492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 博彦 湘南工科大学, 工学部, 教授 (90339797)
片上 大輔 東京工芸大学, 工学部, 教授 (90345372)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 擬人化キャラクタ / 擬人化エージェント / ヒューマン・エージェント・インタラクション / コミュニケーション / ソーシャルスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,各々のコミュニケーション状況において学ぶべきソーシャルスキルの分類を進めること,分類に基づいた効率の良いフィードバック方法の考案,各学習効果の検証方法の構築などに取り組んだ.前年度に開発した対話形式のエージェントシステムを基に改善することと,新しいシステムを構築することも進めた.また,システムを使うユーザのターゲットを変えたものとして,認知症者とのコミュニケーション方略を学ぶシステムの開発にも取り組んだ.異なるターゲットを扱うことで,各々の多人数での会話状況における対応スキルの分類,およびそれに結びついた対処法などについての新たな知見を得ることができ,また対処方法をユーザに学んでもらう方法を探るに至った.さらに,初段階ではあるが学習効果の検証も実施し,一定の学習効果を得るに至った.複数回に分けて実験を実施すること,および会話事例を吟味して準備する,比較対象の用意などの実験検証方法を探ることができた.これは今後のシステムの効果検証方法の確立に繋がる.本システムと研究コンセプトは認知症者とのコミュニケーションをターゲットにした社会問題をも扱うことができることを示すことができたと考える.一方で,会話事例の量を補うこと,会話事例の適切さの評価を進めることが必要であり,スキル学習結果の評価方法の難しさが課題であり今後取り組んでいく.これらの成果は電子情報通信学会HCGシンポジウムで発表し,プレゼンテーション賞を頂くことに至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は,前年度に開発したシステムを基に改善することと,別種の新しいシステムを構築することに取り組んだ.新しく開発に取り組んだシステムはWebやスマホで実行可能としたものである.Web用のスクリプトで実装されており,多様な環境で実行できる.共同研究者と議論し,会話状況の説明,ユーザが答えるべき選択肢とフィードバックが表示されるインタフェースをデザインした.簡単な共有データベースも利用し,会話事例の入れ替えも可能となっている.ただし,音声による対話機能は持たず,限定的ながら効率よくスキルの学習ができることを狙っている. 前年度から引き続き開発しているものは,複数のエージェントと対話できる形式でのスキル学習システムである.複数のディスプレイを用いて,仮想環境状況の中で対話し,スキルの学習を実施できることを狙っている.2018年度はシステムのターゲットを変えたものとして,認知症者とのコミュニケーション方略を学ぶシステムの開発にも取り組んだ.各々の状況における対応スキルの分類とそのときの対処法などについての知見を得ることができ,また,初段階ではあるが学習効果の検証も実施し,効果検証方法の確立に繋がる. 会話事例の質の検証,会話事例をさらに増やした学習効果の検証などが課題であり,システム改善とともに進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究ではシステム開発はおおむね進展しているが,会話事例の量の不足,会話事例の適切さの評価不足(会話事例の量と質の課題),とスキル学習評価方法の難しさが課題となっている.会話事例は,共同研究者で多数の文献やウェブによる調査で議論をして作成してきている.作成した事例は実際に実装し,十数名の大学生による評価試験も実施して改良版の作成も進めている.しかしながら,インタフェース研究者のみで作成していることから,専門知識の不足や自然な対話となっていない(不自然な言葉や文を用いている)ことが問題となっている.システムの基礎部分だけでなく,実用的な会話となっているか,不自然な状況設定での会話になっていないか,回答の選択肢は正しいか,それらからユーザが学び取れることができるか等の検証が課題となっている.このため,劇団の脚本家と会話事例を議論して作成を進めている.会話作成の専門家とエージェントが話すべきセリフや妥当な状況設定を検討していくことで,研究をさらに発展できるものと考えている.また,今後実験も重ねてシステムの効果検証も進めていく.
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Causes of Carryover |
システム開発,構築は進んできている.システム開発およびシステムの調査のための費用は抑え,ストーリー作成やコンテンツの充実を図るための使用額を確保することとした.これにより作業の効率化が図れると考える.
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Research Products
(3 results)