2019 Fiscal Year Annual Research Report
The research about the community empowerment through the generative dialogue
Project/Area Number |
17K04268
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
竹端 寛 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (90410381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 鉄忠 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 講師 (20726046)
高橋 真央 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (50401609)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生成的対話 / ポリフォニー / 相互変容 / 傷つきやすさ / アクターネットワークセオリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究班は「生成的対話にも基づくコミュニティエンパワメントに関する基礎的研究」を検討してきた。ボトムアップ型のコミュニティエンパワメントとは何か、をテーマに、市民社会と社会運動、ソーシャルアクションや対話的空間というキーワードで、学際的な共同研究を目指した。 今年度の成果として、生成的対話やコミュニティエンパワメントを問い直す視座として、アクターネットワークセオリー(ANT)や反抑圧的実践(AOP)という二つの理論と接点をつけることが出来た。そして、それが次年度以後の新たな研究プロジェクトへと結びついた。 フィールドワークの現場での生成的対話から生まれるダイナミズムを表現しようとしても、その記述が静的・構造的になることで、実践の大事なエッセンスが取りこぼされてしまう。それを捉える視点がアクターネットワークセオリーであり、その中での支援する・される、調査する・される、の切り分けを越えた相互変容の可能性をもたらすのが、反抑圧的実践にも結びつく。 この視座を得ることで、コミュニティエンパワメントがどのようにしたら具体的に分析・記述可能なのか、の方法論的土台を獲得することができた。ANTでは事実には「厳然たる事実(matter of fact)」と「議論を呼ぶ事実(matter of concern)」の二つがあるとするが、生成的対話やコミュニティエンパワメントは、ともに一義的に「正解」を同定することの困難な「議論を呼ぶ事実」である。であるからこそ、対話の中で新たな関心に基づく現実をその場の人々が共有し相互変容していくプロセスを、そのものとして記述することが、コミュニティエンパワメントの「動き」を指し示す可能性に繋がるのではないか、という学びがもたらされた。
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Research Products
(8 results)