2017 Fiscal Year Research-status Report
The International Study on Education and Training to Migrant Caregivers Unified Through for Sending to Accepting Countries
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17K04269
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
山田 健司 (山田健) 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (00320664)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外国人労働者 / 技能実習 / 介護 / 研修 / 人材不足 / 斡旋業者 / 人権 / 労働条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度においては、研究計画に基づき主として次の5点について調査研究を実施した。①外国人教員の本邦介護現場での研修プログラムの作成、②フィリピン共和国教員2名の招へいと本邦研修の実施、③ベトナム社会主義共和国教員2名の招へいと本邦研修の実施、④研修内容と研修受講教員によるプログラム内容評価の取りまとめ。⑤送出し国研修教育環境の整備。 ①は、身体障害者療護施設、介護保険施設(特別養護老人ホーム、グループホーム等)でそれぞれ別に策定した。②と③は、2か国から各2名ずつ、各約1カ月間ずつ実施した。④は、策定プログラム受講後に各国2名ずつ計4名から取りまとめを行った(継続実施中)。 現段階における取りまとめ内容の概要は、次のようです。1)研修プログラム策定側の研修内容と目的自体は、研修者に概ね理解されている。2)研修プログラム内容には、第1種施設の存在目的および運営方法(経済面等)に関する内容が欠如しており、研修者の理解促進のバリアとなっている。3)第1種施設の利用者(入居者)の入所背景原因等に関する研修内容が欠如しており、施設内範囲のインサイドワークに偏重している。4)社会保障国家のシステムとしての年金、健康保険、生活保護、介護保険等の制度原則および財源難等の実態に関する研修が欠如していることによる、本邦介護システム全容の理解と疑問が生じている。5)第1種施設の存在自体に疑義が生じている。6)重度障害者に対する介護の意義や生存保障事態に対する疑義が生じている。 その他現時点で惹起している課題および観点は、次のとおりです。本邦研修現場における介護マンパワーの圧倒的不足による現場サイドから研修内容が実務的(即戦力的)方向に偏りが生じがちであること。外国人研修者に第1種施設存在と介護内容に対する強い戸惑いが生じたこと。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2か国の教育機関からの教員派遣が順調に行われている。とくにフィリピン共和国の機関とは研修後の研修結果に関する調査研究が進展している。 日本の研修受け入れ法人施設が協力的であり、人材不足の担い手として外国人を容認しつつその具体的な手法の模索が始まっている感がつよい。 また、送出し国においては、ASEAN統合政策の進展、RCEPや中華人民共和国の一帯一路政策等による国際労働力移動への影響が具体的に増大していることから、日本市場への関心の高まりとともに受入れ政策実態実像の見極めを模索している観点がきわめて鮮明である。 一方において、本研究が現行法規定による主として技能実習制度をとおした研究となっていることから、当該制度所管省庁の制度リニュアル遅延および制度設計上の迷走、これに伴う送出し国側の対応躊躇(サスペンド)と遅延が本研究はもとより国際間労働市場への参入そのものへの大きな障壁となっていると考えられる。 なお、当該技能実習制度の介護職種の受け入れについて、厚労省が平成30年度中にも受け入れ規定内容を緩和する方向で見直しに着手したとの情報があり、この内容如何により、本研究の進捗と内容につき変更が生じる可能性が大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き国内法人および技能実習制度における監理団体と調査研究への協力協働体制を維持強化していく。今後は、2017年度研修結果課題を精査し第2版を作成のうえ本邦内でこれに基づいた研修を実施する。さらに、送出し国研修教育と本邦法人介護現場をWebで接続し、一体的な研究教育プログラムを策定・実施していく。この一体的研究教育のプログラムは随時アップデートとヴァージョンアップを図っていく。 研修教育内容については、技能実習制度の建前機能ではなく人事不足充填機能に着眼しつつ、これら実習生の人材養成と本邦への滞在期間延長を視野に入れた、実質具体的な調査研究の視点を重点的な位置に据えていく。その過程においては、2017年度の実績でのべた、日本の第1種施設の存在機能への疑義等、本邦介護スタイルの特異性と国家社会間の相互理解にも十分な研究観点を置く必要があるといえる。 本研究においては、すでにのべたとおり法規定および通知条例等が流動的であり、研究計画の進行方法に変更の要が生じる可能性がある。この流動性が惹起される力学そのものにも着眼しつつ、通知条例等の変更の意味内容や影響を研究対象に付け加えていくこととしたい。
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Causes of Carryover |
フィリピン・日本間の往復航空運賃2名分および同ベトナム・日本間2名分について、当該国内で航空券を購入したため、予算額より合計額(4名分)が安価となったことが主事由です。 使用計画としては、平成30年度研究における航空運賃につき、その時節差による変動への充当をもって使用する計画としています。
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