2017 Fiscal Year Research-status Report
福祉教育におけるアクティブラーニングのプログラム開発とレリバンスの解明
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17K04276
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
岡 多枝子 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (30513577)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 福祉教育 / アクティブラーニング / プログラム開発 / レリバンスの解明 / 福祉系高大連携 / 看護学生 / KJ法 / 修正版反転授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
「福祉教育におけるアクティブラーニングのプログラム開発とレリバンスの解明」に関する実証的研究を推進した。研究1年目となる平成29年度の研究成果は以下の通りである。 第1に、「福祉系高校教員への質問紙調査」を当初の研究計画通り、平成29年8月に開催された全国福祉高等学校長会全国大会(青森市)において実施することができた。調査結果は現在分析中であるが、福祉教育を実施している高校の校長・福祉科主任をはじめ高校福祉教育現場から「福祉教育におけるアクティブラーニングの理念や意義、教育方法に関する具体的な質問や課題」が多く聞かれ、改めて本研究の社会的意義を確認した。一部は分析を終えて、日本福祉教育・ボランティア学習学会において発表するとともに、研究協力者となる福祉系高校教員を複数名確保することもできた。 第2に、研究計画書に明示した「福祉系大学生を対象とした集団面接調査」は、対象となる高校福祉科の教職学生達へのプレ調査段階で「アクティブラーニングによる福祉教育の実践例を学びたい」「学生間でのアクティブラーニングに関する経験や意見の交流を行いたい」との要望が出され、研究代表による模擬授業及び解説を行うとともに、学生達による「アクティブラーニングをテーマとしたグループKJ法」によって課題を共有するアクティブリサーチに変更した。これによって福祉教育の対象である学修者による「当事者参画型の実証研究」への端緒が拓かれた。 第3に、「アクティブラーニングを用いた福祉系大学生・看護系大学生に対する指導法に関する研究」では、「社会福祉学」「福祉科教育法」等でオリエンテーションから最終授業までの主体的・対話的な活動を喚起する事前学習、ピアインストラクションやグループKJ法に焦点化した実証研究を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「福祉教育におけるアクティブラーニングのプログラム開発とレリバンスの解明」に関する実証的研究課題の進捗状況は、概ね順調に進展しているといえる。その理由は以下の通りである。 第1に、「福祉系高校教員への質問紙調査」を研究計画通り平成29年8月に実施し、153名の高校教員(校長・教頭を含む)から回答を得ることができた。調査結果は現在分析中であるが、質的研究成果の一部をまとめて日本福祉教育・ボランティア学習学会において「福祉系高校教員は『アクティブラーニングの必要性』は認識しているが『福祉教育をアクティブラーニングと関連付けること』には個人差がみられた」こと等を発表した。また、研究協力者となる福祉系高校教員を17名確保することもできた。 第2に、研究計画書に明示した「福祉系大学生を対象とした集団面接調査」は、対象となる高校福祉科の教職学生達へのプレ調査を行ったところ、「アクティブラーニングによる福祉教育の実践例を学びたい」「学生間でのアクティブラーニングに関する経験や意見の交流を行いたい」等の積極的な意見や要望が出された。そこで集団面接をアクティブリサーチに変更して、研究代表による模擬授業と解説を行い、それに基づいた学生達による「アクティブラーニングをテーマとしたグループKJ法」を行った。その結果、高校や大学で福祉教育を受けた経験から、「主体的・対話的で深い学び」の内実に迫る実践課題を共有することができた。 第3に、「アクティブラーニングを用いた福祉系大学生・看護系大学生に対する指導法に関する研究」では、「社会福祉学」「社会保障論」「福祉科教育法」等において「オリエンテーションから最終授業まで」のシラバスに事前学習、ピアインストラクションやグループKJ法を明示するとともに参与観察を含む実証研究を順調に推進することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
「福祉教育におけるアクティブラーニングのプログラム開発とレリバンスの解明」に関する今後の推進方策は以下の通りである。 第1に、「福祉系高校教員への質問紙調査」結果によると、福祉系高校では日常的に実習指導や実技指導が行われているところが多く、福祉現場など実社会との接触も多い。従って、生徒の学習形態も普通科などに比して行動的であり、学習課題もより具体的で現実的である。しかし福祉系高校の形態や資格取得の有無、カリキュラムの特性などによって教育内容には差異がみられることから、17名の福祉系高校教員を中心とした研究協力者とともに福祉系高校のタイプ別のモデル授業や資料集、事例集、実践集の作成とプログラム開発を行い、連携研究者とともに学会発表や論文投稿によって研究成果の発信を行う必要がある。 第2に、「福祉系大学生によるアクティブリサーチ」と「アクティブラーニングをテーマとしたグループKJ法」を発展させることによって、「当事者参画型研究」を推進することである。特に、学生参画によるルーブリック評価の実証研究を通した評価の構造化が今後の課題である。 第3に、「アクティブラーニングを用いた福祉系大学生・看護系大学生に対する指導法に関する研究」では、シラバスの精査及び「修正版反転学習」による事前学習、ピアインストラクションやグループKJ法などの推進によるプロセスの可視化と統合的評価を検討する。また、大学祭でのポスター発表などの機会をとらえて学生による主体的で対話的な発表の場を設定するとともに、参与観察による実証研究を行う。
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Research Products
(2 results)