2017 Fiscal Year Research-status Report
市町村における10代被虐待児の問題行動への支援実態と支援モデル作成の試み
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17K04288
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
加藤 曜子 流通科学大学, 人間社会学部, 教授 (90300269)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 要保護児童 / 要保護児童対策地域協議会 / 青少年 / 問題行動 / 支援者 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会的養育と命名され、保護者支援とともに、子どもへの養育が社会のものとして認識されつつある。つまり在宅にあっても、社会が子育てにおいても必要であれば、かかわるということが2016年の児童福祉法改正によって形となりつつある。 要保護児童対策地域協議会は、2004年に法定化した、虐待予防、再発予防のための仕組みである。2016年の児童福祉法改正によって、ようやく市町村対応の専門職配置が明記されることになり、今後、ますます在宅における支援の在り方が問われていく時代へと入ることになった。本研究は、その要保護児童対策地域協議会の対象となる児童の中でも、特に大人になる手前の15歳以上の子どもを対象とする。 要対協の功績は、機関連携、協働、共有の必要性と、問題事象を多面的にみていくことの重要性が強調されたことである。また一回性のものではなく長期支援が必要であることも明らかになってきた。すでに2004年に成立して10年以上たち、15歳以上の子どもへの支援が実際には、どのように実施されてきているのかは、その実態が明らかにはなっていない。18歳以上の子どもを対象とした自立支援も引きこもりを中心とした子ども若者推進の視点からは論議されているが、要対協でかかわっている子どもたちについてはその後の継続的な支援を含めて論議されていない。先進国における研究検索を実施することと、どのような実態把握が行えるのか、子ども若者支援を進める自治体も研究協力者として参加し、3回にわたり検討を行い、要対協事例として15歳以上になった児童事例の実態把握と、15歳以前から支援をうけている児童の実態把握のための調査項目を検討した。次回は支援者の資質の要件などにも触れる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
15歳以上の子どもの研究は法務省などの非行例からはきかれるが、実際に義務教育終了後の実態が把握されることは少ない。今回の児童福祉法改正における自立支援については、そういった義務教育終了後の子どもも対象としている。ただ、今回論議した点は、先行研究では11~17歳を青年期とした使ったり、13~18歳を区切りとするなど、幅広くとっている点であった。我が国で15歳~18歳未満の要保護児童対策地域協議会で扱う割合は10%以下となっている。しかしながら、長期でかかわっている件数も多いのではないか、また予後がよくないことも過去の研究では明らかになっている。つまり連続した支援が十分に受けられていないなかで、置かれているのではないかということが懸念される。 自立支援については、22歳までを自立援助ホームに入ることができる。しかしながら、15歳~19歳までの年齢では実際要対協で扱われることは少ない。過去事例において年長になると非行問題として市区町村ベースではなく、少年法の問題として移行してしまうという傾向もあると聞き取り調査では明らかになっている。 どの時点で支援困難さを感じているのかということが一方では課題としてでてくる。 さらに自立支援調査(相澤ら)からは、家に帰れない子どもたちの多くは精神的な課題をもち、かつ実家についても精神的な困難さを抱えている、過去に虐待を抱えているという。その上で、何が予防的に必要なのかを問うこと、さらには何が自立支援へ迎えるのかを検討をしていきたい なお、支援者の支援力についても、今回研究では課題することになっているが、検討をした結果、まずは、15歳~18歳未満の要保護児童対策地域協議会で登録されている児童についての実態を理解したうえで、何が支援に必要なのかを明らかにしたうえで、研究を進めることにする。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画においては、支援者の実態把握を先に実施する予定を組んだ。しかしながら、2016年の折、要保護児童対策地域協議会の調整機関の専門職化のための研修促進、および支援拠点の充実が義務付けられていることから、自治体により変革しつつある。よって、研究会にて、検討をした結果、まずは、15歳以上の子どもの支援実態把握をする必要があるとの意見を優先させることにした。また、折から子ども若者推進自立のための法律や仕組みづくりも変革をしつつあることから、その実態を検討することにした。さらに先進研究においては、11-17歳をユースとしたり、13-18歳をユースにするなど、研究者の取り組みは異なる。しかしながら、我が国においては15歳以上(義務教育から手が離れる時点)からの支援について明らかにすることにした。平成30年度については検討してきた全国市区要保護児童対策地域協議会に登録されている15歳以上の要保護児童についての調査を実施することとし、集計分析を行っていきたい。そこから実態把握と問題についての課題を整理する。よって夏までに調査を終えることとし、その集計分析に時間をとり、次年度に向けた検討をすることにした。
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Causes of Carryover |
一年目については、支援者のための資格要件などの検討行い、全国市区調査を予定しました。しかしながら、児童福祉法改正に伴う、相談体制の変化や研修体制の実施もあるため、支援者調査については、最終年としました。そして2回を予定した全体の研究協力者のための会議については、3回を実施し、まずは、要保護児童対策地域協議会に登録されている子どもの実態を調査することとし、そのためのいくつかの条件について検討をすることにしました。当初予算として、組んでおりました、郵送代なども含め、実際にその調査費が必要となるために、凝り上げることとしました。 また、子どもの年齢については検討をした結果15歳以上~18歳未満で、要保護児童対策地域協議会に登録されている子どもたちし、それを対象とすることにしました。
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