2018 Fiscal Year Research-status Report
An experimental study of the role functioning of school social workers in special education schools.
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17K04293
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
門田 光司 久留米大学, 文学部, 教授 (50269081)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スクールソーシャルワーカー / 特別支援学校 / 特別支援教育コーディネーター |
Outline of Annual Research Achievements |
1.特別支援学校の特別支援教育コーディネーター(以下、SSEC)への聞き取り調査の実施 (1)研究目的:2017年度に実施した全国の特別支援学校SSEC調査結果では、SSECの72.0%が特別支援学校へのスクールソーシャルワーカー(以下、SSW)配置の必要性を回答した。他方で、学校と関係機関との連携の役割についてはSSECとSSWの役割機能が重なるため、どのような役割分担を図っていくのかの指摘もあった。そこで、本調査では、SSWとの連携経験のあるSSEC10名に対し、半構造的面接法にて質的調査を実施した。調査実施期間は2018年12月~2019年2月である。 (2)調査結果:SSEC10名全員が特別支援学校へのSSW配置の必要性を回答した。学校と関係機関との連携に関するSSECとSSWの役割分担に関しては、①SSECは教育の専門職であり福祉の専門職ではないこと、②SSECは校内業務(授業担当、教育相談)やセンター的機能(近隣の小中学校への巡回相談)の業務に多忙化し、学校と関係機関の連携が十分やれていないこと、③社会福祉の機関や福祉サービスに関する知識はSSWが専門であることなどが意見としてあげられた。そして、10名のSSECとも学校と関係機関の連携業務はSSWが担い、SSECは校内業務及びセンター機能業務の役割分担が望ましいことが提示された。この調査結果より、特別支援学校におけるSSW配置の必要性とその役割分担を明確にすることができた。 2.海外(カナダ・トロント)の訪問調査 カナダ・トロント教育委員会が運営する小中学校では、インクルーシブ教育の推進にともない障がい児童生徒も通常の小中学校に在籍している。そのため、SSWが学校と関係機関とのつなぎ役を担う役割が位置づけられている。この訪問調査結果より、SSWが中心的に学校と関係機関の役割を担っていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究計画は、①SSWへの全国調査の実施、②海外(カナダ・トロント教育委員会)での訪問調査の実施、③特別支援学校におけるSSWの役割機能モデルの明示である。 ①については、2017年度の全国の特別支援学校SSECの調査にて、SSWと連携したSSECが572名中156名(27.3%)いた。この153名の調査分析結果より、当初SSWへの全国調査で明らかにしたかった結果のデータを得ることができた。②については、カナダ・トロント教育委員会及び小中学校への訪問調査にて、障がい児童生徒への支援に際してSSWが学校と関係機関とのつなぎ役を担う役割が位置づけられていることが明らかになった。③については、SSWとの連携経験のある10名のSSECへの聞き取り調査結果より、学校と関係機関の連携業務はSSWが担い、SSECは校内業務及びセンター機能業務の役割分担が望ましいことが提示された。これらの一連の調査結果を踏まえて、特別支援学校におけるSSWの役割機能モデルを構築した。 以上より、2018年度実施予定の研究計画は完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究実施計画は、①特別支援学校におけるSSWの役割機能モデルの実践検証、②研究成果報告書の発刊である。 ①については、特別支援学校からの支援依頼を受けているSSWの協力を得て、構築した特別支援学校でのSSWの役割機能モデルの検証を行っていく。この検証成果を広く公表していくために、研究論文の学会誌投稿や研究発表、②研究成果報告書の発刊と特別支援学校及び教育委員会への発送を通して、特別支援学校でのSSW導入推進に向けた社会的貢献を果たしていく。
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