2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Supported Decision-Making of Choice and Consent of The Medical Act for People who Lack Mental Capacity in Social Work.
Project/Area Number |
17K04295
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
林 真帆 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (50523304)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織原 保尚 別府大学, 文学部, 准教授 (50586823)
尾口 昌康 別府大学, 文学部, 准教授 (10567225) [Withdrawn]
日和 恭世 別府大学, 文学部, 講師 (40612825)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 判断能力の評価 / 医療価値の優先 / アドボカシー機能 / 患者の自律性への視点 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年は、急性期病院と在宅医療支援病院に所属する医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)5名、計10事例についてヒアリング調査を実施した。本研究の前提では、ソーシャルワーカーは本人の自己決定を支援するという原則に立ち、医療領域においても医療の選択や同意のなかで可能な限り本人の意思を反映する実践を展開しているものと思われた。しかしながら、調査結果では判断能力が不十分であると医師が判断した後のMSWの援助は、本人ではなく家族中心に実践が展開されていた。 ヒアリング結果と2017年度実施のアンケート調査結果を比較検討したところ、判断能力の不十分な人への意思決定支援における課題をいくつか整理することができた。①判断能力に関する評価は医師が担い、判断後は再検討されない、②医療機関では治療のみならず暮らしの場の選択においても医療専門職の価値と判断が優先される、③そのため、患者ニーズや状況についてのMSWの情報は重視されない、④MSWの介入を組織が必要としないなどMSWの援助が届かない課題もあった。そしてMSWの援助は患者ではなく家族を中心の行う結果となっていた。 MSWの援助のあり方について実証的に明確化できなかったことから、2つの調査結果と文献さらに成年後見制度下の課題をもとに、意思決定支援におけるMSWの役割について検討した。その結果、ヘルスケアと社会福祉は目的の達成において相互依存関係であること、それゆえ意思決定支援においてMSWは、患者の自律性への視点をもち権利擁護の役割を担うべき存在であり、病や障害を抱えていく人の尊厳を守るうえで本人の意思の形成・表明、医療チームや家族への代弁・交渉というアドボカシー機能を発揮させる必要性を指摘した。ただし、MSWを取り巻く環境側の課題解決については結論づけることができなかった。
|
Research Products
(1 results)