2018 Fiscal Year Research-status Report
配食サービスの有効性を高める配達員の教育育成と事業の可能性拡大に関する実験的研究
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17K04298
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Research Institution | Osaka Chiyoda Junior College |
Principal Investigator |
松井 順子 大阪千代田短期大学, 幼児教育科, 教授 (20552772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧里 毎治 関西学院大学, 災害復興制度研究所, 研究員 (40113344)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 配食サービス / 配達員 / 勉強会 / グループワーク / 自尊感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は、松江市の配食サービス委託事業者3社の協力を得て、月1回のペースで合計6回、各社を順に回り、配達員の方達を対象に配食に関する勉強会を実施した。第1回は食事の機能と配食サービスの有効性を、第2回と第3回は認知症の理解とその対応方法を2回に分けて、第4回は熱中症と救急蘇生法を、第5回は配達員を対象にした勉強前のアンケート調査の結果とそれを踏まえた配食サービス配達の意義を、第6回は配食配達のマニュアル作りのグループワークを実施した。全会終了後、各社の配達員の代表に集まって頂き、勉強に対するグループインタビューを行った。グループインタビューの逐語録をもとに、事後アンケート調査項目を設定し(事前調査項目に追加・修正)、2019年2月~3月に、アンケート調査を実施した。2019年2月には3社の代表と配達員の代表に集まって頂き、各社の配食配達時のマニュアル作りの進捗状況の確認と意見交換会を行った。次に、学会発表は、2018年9月に「日本社会福祉学会第65回秋季大会(於:金城学院大学)」で、「配食サービス給付有効性向上に向けての試みに関する一考察‐配達員への教育研修前のアンケート調査を中心にして‐」をテーマに口頭発表を行った。論文執筆は、大阪千代田短期大学紀要48号(2019年2月)に「地域的課題に取り組む松江市の配食サービス事業の現状と今後に関する一考察 : 事業者活動を中心にして」の掲載と、日本生命済生会公No.7(通算No.47)(2019年3月)に「市場ルールに似た公的配食サービス事業の現状と課題に関する一考察-名古屋市を事例として-」(査読あり)の掲載である。そのほか、兵庫県宝塚市の老人福祉センターの健康とまちづくり講座で受講生(60歳以上)を対象に「健康寿命の延伸と食事」を話すなかで、配食サービスの意義等にも言及している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 研究協力者(配食事業者3社)と各社の配達員から積極的な協力姿勢を得て、勉強会は予定通り毎月順調に進めることができた。 ② 毎回、配達員の方達にリアクションペーパーの記入を求め、コメントを次の勉強会に反映させることで、配達員の方達との距離を近づけることに努めた。初回の勉強会で、「勉強することに慣れていないので、内容が難しい」というコメントがあり、2回目以降は出来るだけイラストや図を用いて、説明することに努めた。 ③ ②を繰り返すことで、第5回目に行った事前アンケート調査の結果とそれを踏まえた配食サービス配達の意義の授業は多くの意見が出て、効果的な勉強会にすることができた。 ④ ②と③の相乗効果で、第6回目の配食配達のマニュアル作りのグループワークも配達員の方達に積極的に参加してもらえることが出来た。つまり、グループワークは配達員個々の平素の思いを語る機会となり、また、各社の代表も同席するなかでのグループワークであったこと等から、代表と配達員との距離が縮まり、各社の風通しの改善の効果も得られた。 ⑤ ②③④の積み重ねの結果、勉強会終了後のグループインタビューも概ね前向きな意見を聞くことができた。全体を通じて勉強会は予定した内容を修了することは出来た。しかし、配達員の方達からは「他の主だった病気についても学びたい」との希望があったものの、それにこたえることは現状ではできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、勉強会終了後の事後アンケート調査(2019年2~3月実施)の分析結果を出して、本研究の協力者である配食委託事業者各社の代表、並びに、主だったメンバーで研究会を開き、分析結果に基づき、勉強会の有効性の検討と今後の改善点、並びに、各社協力による地域における事業の可能性拡大の検討を行う予定である。 今年度後半には配達員の方達へ事後アンケート調査の結果を報告する機会を設ける予定である。その際、配達員の方達から新たに学びたいと要望が出た内容に応えられればと考えている。 そのほか、配達マニュアルはまだ完成していないことと、マニュアルは定期的に見直しが必要であること等は、今後の研究会で確認していく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は研究協力者である配食サービスの事業者が非常に協力的で、研究初年度、①配達員の教育的育成の先駆的事例(愛知県)を訪問し聞き取り調査を実施するための費用として、②各社の主だった配達員を集めたグループインタビューや利用者への聞き取り調査は当初の計画よりも早く実施できることになったこと等から、初年度に前倒し支払い請求を行った。ただし、これらにかかる経費は例えば、①の訪問調査の旅費は早割の航空チケットを購入する等、その都度、費用の抑制に努めた。その結果、前倒し請求をした費用は全額使いきることなく、余った費用を2年目に持ち越すことになった。ましてや、2年目は予定していた調査の一部を前年度に既に終えていたこと等から、予定額よりも実支出額の方が少ない結果になっている。 2019年度は、2018年度の繰越し金を合算して研究を進めるが、今後は勉強会終了後のアンケート調査(2018年度中に実施済み)の結果を基に、各社の代表に集まって頂き、分析結果に関する議論と今後の事業可能性拡大に関する検討を行う研究会が主な取り組みで、それに伴う経費が主な支出項目である。そのほか、配達員からは他の病気の話も聞きたいと希望を頂いているので、勉強の継続性を担保できればと検討中である。
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Research Products
(3 results)