2018 Fiscal Year Research-status Report
Age Friendly Cities(AFC)指標の開発と信頼性・妥当性の検証
Project/Area Number |
17K04305
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
鄭 丞媛 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (50553062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 祐介 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (60735497)
宮國 康弘 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (90734195)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Age friendly Cities / 社会環境 / 地域診断 / 介護予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化が急速に進む日本においては,高齢者の健康で幸せな暮らしへの関心が高まっている.厚生労働省「健康日本21(第2次)」では,高齢者の幸せな暮らしに大きな影響を与える要因である健康に関して,社会環境の違いによって集団間に「格差」 があることを指摘している.その格差を縮小するために「社会全体が相互に支え合いながら,国民の健康を守る環境を整備する」ことを目指すとしている. WHOは地域の「社会環境」の改善を促すために,「まち(city)」の社会環境と健康の格差の評価ツールとして,Age friendly Cities(AFC)を提唱してきた.しかし,日本では健康に影響を与える社会環境要因や地域レベルでの研究についての科学的な検証は必ずしも十分に行われていない状況である. 本研究ではAFCの概念を構成する8領域(①野外空間・建築物,②交通,③住宅,④尊敬・社会的包摂,⑤市民参加・雇用,⑥社会参加,⑦地域・保健サービス,⑧コミュニケーション・情報)と高齢者の健康 との関連性を明らかにすることを目的とする. 調査対象は「第7期介護保険事業策定のための日常生活圏域ニーズ調査データの分析支援プロジェクト」に参加する約100市町村とする.AFCの8領域の現状について約100市町村を対象に調査し,その結果と各市町村の日常生活圏域ニーズ調査や特定健診・保健指導データなどの分析結果との関連性を検証する. 本研究を行うことにより,①AFCの概念を構成する8領域のうち,どの領域が高齢者の健康と強く関連するのか,②社会環境の目標値の設定やモニタリング,③各市町村の特徴や課題の発見,④地域間の比較やベンチマークが可能になると思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は国内外の地域診断指標,高齢者のwell-beingと関連する環境要因に関する先行・関連研究およびAFCの事例等の文献レビューを行いながら,データを用いた分析を進めてきた. 1.地域づくりによる介護予防に用いられる地域診断の量的指標について,先行研究でどのような指標が用いられ,指標間の関連に再現性があるのかをレビューした. 2.指標の妥当性を検証するため,105市町村の協力により得られた日常生活圏域ニーズ調査の2013年度データ338,659人分のデータを用い,社会的な課題となっている認知症の発症リスク因子である「物忘れ」と「社会環境因子」との相関分析を行った.
平成30年度は,30の保険者から特定健診・保健指導データを収集し,そのデータを用いて,AFCを構成する指標の一部との関連を分析する予定であった.しかし,データの収集作業が想定よりも時間がかかったため,本年度に予定していたデータクリーニングやデータセットの構築作業が遅れた.これらは来年度に行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は主として以下の3点に取り組む計画である.
1. 国内外で用いられている地域診断指標に関する先行研究の検証を引き続き行う. 2. 分析に用いるAFCを構成する指標の検討およびデータの収集を行う. 3. 日常生活圏域ニーズ調査のデータおよび特定健診・保健指導データとAFCを構成する指標との関連性を分析する.
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Causes of Carryover |
本年度に予定していたデータクリーニングやデータセット構築等が遅れたため,その分の予算を次年度に使用する.
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