2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of culture-specific person perception: Japan-US comparison of spontaneous trait inferences
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17K04308
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
清水 由紀 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30377006)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 対人認知 / 比較文化 / 自動的過程 / 特性推論 / 状況推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
意図せず,自動的・自発的に,他者の行動から特性を推論する自発的特性推論 (Spontaneous Trait Inference; STI)の文化差について,実験的検討を行った。特に,日本人はアメリカ人よりも自発的状況推論 (Spontaneous Situation Inference; SSI)も同時に生起しやすいのではないかという仮説のもと,誤再認パラダイムによる個別実験を昨年度に引き続き実施した。本実験のポイントは,行為者の特性と行動の生じた状況を暗示する行動記述文,および,人物写真,状況写真を提示し,その間の参加者の注視行動をアイトラッカーにより測定した点である。最終的に,ヨーロッパ系アメリカ人74名,アジア系アメリカ人72名,日本人72名の計218名の大学生を対象に実験を実施した。 結果から,3群のいずれもSTIとSSIを同時生起していたが,ヨーロッパ系アメリカ人のみSTIの生起がSSIの生起よりも大きいことが示唆された。またそれと対応して,3群とも人物写真の方が状況写真よりも長く注視していたが,その差はヨーロッパ系アメリカ人が他の2群よりも大きかった。これらは,文化心理学において示されている,北米の人々は中心的な対象に注意を向けやすく,東アジアの人々は文脈情報にも目を向けやすいという知見(e.g.,Masuda & Nisbett, 2006)と一致している。 さらには,このようなSTI,SSIの文化差が,analytic-holisticという思考の違いを反映しているのかどうかについても検討が必要だと考え,Analysis-Holism Scale (Choi, Koo, & Choi, 2007)に対する回答とSTI,SSIの相関について検討する実験も新たに開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
参加者のリクルートメントが順調に進んだため,来年度にかけて実施予定であった実験を本年度中に終わらせることができた。そのため,研究の過程で新たに疑問点として生じてきた,analytic-holisticな思考の違いと,STIおよびSSIの生起との関連を調べる実験を新たに開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度であるため,新たに付け加えた実験を継続し完了させた上で,2つの実験の結果を国際誌に投稿する。本研究は,ニューヨーク大学Uleman氏との共同研究であるため,研究代表者がニューヨーク大学に出張し,プロジェクトの進捗について確認すると共に,実験実施や論文執筆についての打ち合わせを行う。
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Causes of Carryover |
共同研究先のニューヨーク大学において授業期間内に実験を実施することができたたことから,RA謝金の支出が抑えられたため。
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