2022 Fiscal Year Annual Research Report
mind perception toward the corpse: examination of the mental mechanism of attachment and respect toward the dead
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17K04310
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
白岩 祐子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (40749636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐沢 かおり 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50249348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺体保全 / 遺体損壊 / 解剖 / 臓器移植 / 死後世界観 / afterlife belief / 心身二元論 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の蔓延により延長せざるをえなかった社会調査を当該年度は実施し,これを通して1)大切な故人の死後をめぐる日本人の心象(二人称の死後世界観)を測定する尺度を作成・標準化するとともに,本テーマの主眼である,2)遺族の死後世界観と故人の遺体損壊ないし遺体保全への態度との関連を検討した。 上記の結果,大切な故人の死後に対する遺族の各種心象は,予測通り,故人の遺体に対する態度と関連していることが明らかになった。具体的には,「故人の魂は存続する」「故人の魂は今も自分のそばで見守り,支えてくれている」という心象(「魂との共生」因子)が「解剖の拒否」および「臓器提供の拒否」に対して正の予測因となっており,逆に,「故人は望ましい他界にいる」との心象(「良き他界」因子)はこれらの負の予測因となっていた。これに対して,臓器提供に対する遺族の肯定的な態度,すなわち,「故人は提供した臓器を通して生きる」という遺族の評価に対しては,「故人はまた別の世に生まれ変わる」との心象(「生まれ変わり」因子)が負の,「故人は宇宙や自然などと一体化する」という心象(「大きな存在への統合」因子)と「故人は遺された者の記憶に生きる」との心象(「記憶・記録」因子)は正の予測因となっていた。 このように,大切な故人の遺体損壊,ないし遺体保全に対する遺族の態度には,明らかにその死後世界観が関連しており,とりわけ遺体を貴ぶ態度には,故人の生前の人格や意識を残す「魂」観,すなわち霊魂観念が一貫して関わっていることが明らかになった。「故人が解剖や臓器提供のための執刀を痛がる」と遺族が言うとき,それは文字通り,「故人の魂が嫌がっている」ことを含意することが示された。
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