2017 Fiscal Year Research-status Report
Effects of multi-perspective-taking and prosocial motivation on creativity in product development
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17K04311
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
村田 光二 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (40190912)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視点取得 / 創造性 / 内発的動機づけ / 向社会的動機づけ / 商品開発 / やり抜く力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、最初に、視点取得と関連する個人差要因の検討を実施した。近年注目の集まる非認知能力の一つである「やり抜く力(grit)」は、誠実性、外向性、協調性といった性格の基本次元や自尊心の高さと正の相関を持つだけでなく、視点取得傾向の個人差とも正の相関を持つことを示した。またやり抜く力と視点取得傾向との関係は、他の諸特性を統制した場合でも有意であったことも示し、5月にアメリカ心理学会で発表した。次に、内発的動機づけや向社会的動機づけを操作した実験研究、および新商品開発課題を用いた研究での創造性の測定方法を検討して、「創造性の高い新商品を開発するために開発者の内発的動機づけと視点取得が心理的要因として重要である」という仮説を検証するための基礎固めをした。第3に、日本での関連研究について知識を深めるために、産業・組織心理学会、日本社会心理学会の大会に参加して、関連する研究を実施している研究から情報を得た。その上で、学生を参加者として、視点取得の有無と内発的動機づけの高低とを操作して、高齢者向け商品のアイデアを産出してもらう実験を12月に実施した。視点取得の操作は、「高齢者の立場に立つよう」あるいは「高齢者を撮るカメラの視点に立つよう」に教示することによって行った。また、内発的動機づけの操作は、アイデア産出課題の対象となる商品を、2つから1つ割り当てるか、いずれか1つを選択できるかによって行った。前者の選択無し条件よりも後者の選択有り条件の方が、内発的動機づけが高まると考えられる。実験実施そのものは順調に行われたが、自由記述形式で測定したアイデア産出課題のデータを、判定者にコーディングしてもらうことに時間がかかり、年度内では終了しておらず、現在も分析中である。今後その内容分析結果を得て、他の変数と関連づけた分析結果をまとめ、仮説の検証結果を報告する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
やり抜く力との相関が認められることから、視点取得には努力が必要で、熟慮的な過程を経る作業であることがわかる。主たる実験参加者である学生にとっては、高齢者の立場に立つことはかなり骨の折れる作業であり、参加者すべてが充分に視点取得できたかどうかは得られたデータをもっと詳細に分析する必要があるだろう。この点についてまだ課題が残っているが、初年次としては良いスタートが切れたと考えている。内発的動機づけの操作に関しても、課題選択の有無を利用できることが確認できたが、他のもっと良い手続きを探索することが望ましいと考えている。以上のように、独立変数の操作方法の問題については、当初考えていた通りに、およそ研究を進展させていると考えられる。他方で、従属変数の測定に関しては、最初の実験の創造性に関する内容分析がまだ終了しておらず、今後迅速に実施する必要がある。その分析結果を待ってから評価する必要があるが、測定方法についてはこれまでにある程度確立しており、大きな障壁が残っているわけではない。むしろ、有能な判定者の確保が課題として残っている。社会人や当該商品の使用者(平成29年度実験の場合は高齢者)を確保して、創造性の質の高さを的確に測定できるように努めたい。以上のように、初年度に課題としていた内容についてはおおむね達成できたので、「おおむね順調に進んでいる」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、前年度からの宿題として残った、実験参加者が記述した新商品の創造性(新規性と有用性)の測定を最初に実施したい。その結果を分析して、創造性の判定方法の改善にもつなげたい。その結果については、国内学会で発表を計画している。その結果を受けてからの検討になるが、商品使用者への視点取得の有無と内発的動機の高低を操作した、基本実験の追試を実施する計画を立てている。研究代表者が平成29年度末に前任校を定年退職し、別の大学に移って新たに研究室を構築しているところであるので、実験の基本パラダイムを新しい研究環境で確認しておくことが必要だと考える。その上で、複数の視点取得をすることが、商品開発における創造性を高めることにつながるかどうか、新たな実験に平成30年12月頃にはチャレンジする予定である。複数の視点取得とは、例えば介護用の商品を開発する際に、介護される人の立場に立つだけではなく、直接介護に携わる人の視点にも立つといったことである。
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Causes of Carryover |
年度の後半に出張する計画であったアメリカでの『性格と社会心理学会』大会が、平成29年度は2018年3月に実施され、研究室の片付け・引越作業等に重なって出張できなくなったことが残額が生じた第一の理由である。次に、実験結果の内容分析作業が終了せずに、謝金の支払いができなかったことが残額の生じた第二の理由である。加えて、物品についても購入を差し控えたことが第三の理由である。これら残額については、2018年4月から新たな研究室に移ったので、そこで新規に必要となる物品等への支出、宿題となった内容分析(自由記述の判定)作業への支出、また学会出張についても当初の計画通り実施することを通じて使用するよう計画している。
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Research Products
(1 results)