2019 Fiscal Year Research-status Report
Executive function and the strategic formation of "open" social networks
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17K04314
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
五十嵐 祐 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (90547837)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会的ネットワーク / 実行機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでに収集した大学新入生の社会的ネットワークに関する縦断データの分析を行った。エージェント・ベース・モデルによる分析の結果、所属欲求の高まりや実行機能の低下をもたらす孤独感が、社会的ネットワークの構造的変化を規定することが明らかとなった。この結果は、複数の集団において、デモグラフィック属性やパーソナリティといった個人レベルの要因と、授業の履修パターンといった集団レベルの要因を統制した上で得られており、その妥当性は高いと考えられる。ただし、測定時期によって異なるパターンが得られたため、今後は時期の効果を考慮に入れたモデルをベースに、より詳細な検討を行うことが必要である。また、新たにアメリカの中学生を対象とした社会的ネットワークの公開データセットの分析も進め、孤独感が社会的ネットワークを通じて拡散しうること、ただしそのパターンは高孤独者と低孤独者で異なることが明らかとなった(Igarashi, 2019, ASNAC)。これらの知見は、実行機能の低下と関連する孤独感が、コミュニティ所属の基礎となる社会的ネットワークの構造をダイナミックに規定する可能性を示すものである。さらに、オンラインでの相互作用実験の実施にあたって、オープンソースのパッケージを用いたプログラム開発も進め、動作の検証を行っている。研究成果としては、孤独感尺度短縮版の日本語版を開発した(Igarashi, 2019, BMC Psychology)。また、昨年度に行った実行機能とコミュニティ所属との関連について、アジア社会心理学会にて報告を行った(Igarashi et al., 2019, AASP)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実行機能の測定及び大学新入生の社会的ネットワーク構造の分析は予定通りに進んでいるが、オンラインでの相互作用実験の準備に想定よりも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
大学院生と共同でオンライン実験のプラットフォームの整備を行う。社会的ネットワークのデータについては、新型コロナウイルスによる休校・授業のオンライン化の影響で、2020年度に予定していた縦断データの収集が行えなくなったため、これまでに得られたデータの分析を中心とした作業に変更し、論文化を進める。
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Causes of Carryover |
日本国内でのデータ収集に伴う人件費・謝金については、国際共同研究強化(B)から支出したため。また、旅費については、渡豪に伴い日本国内での学会に参加しなかったため。繰越額は、実験プログラムの開発およびデータ収集の謝金に使用する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Task-switching ability fosters multiple community belonging on social networking service.2019
Author(s)
Igarashi, T., Chen, J., Hayakawa, M., Sawada, G. & Hirashima, T.
Organizer
The 13th biennial Asian Association of Social Psychology, Taipei, Taiwan.
Int'l Joint Research