2022 Fiscal Year Annual Research Report
Executive function and the strategic formation of "open" social networks
Project/Area Number |
17K04314
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
五十嵐 祐 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (90547837)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 実行機能 / 社会的ネットワーク / 分配課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、実行機能の課題切り替え能力が、異なるルールを持つコミュニティでの適切な行動を促進するかどうかを検討するため、先行研究をもとにパラメータ設定を行ったボットとの相互作用実験パラダイムを新たに開発し、クラウドソーシングサービスで募集した参加者を対象に一連の検討を行った。この実験は、世界中の多様な集団(コミュニティ)で行われた経済ゲームに関する先行研究の知見をベースとして設計されており、参加者は複数の集団に所属するボットを相手として、集団ごとに異なる反応をとるボットとの間で分配課題を行う。それぞれの集団における分配ルールを迅速に学習し、適切と考えられる(すなわち、相手に受け入れられる)分配行動を取ることで、参加者はより多くの資源を得ることができる。分析の結果、個人の課題切り替え能力の高さは、特に分配ルールとしての規範の学習が困難な集団において、より多くの資源を得ることにつながっていた。また、個人差要因として道徳基盤尺度との関連を補足的に検討した結果、分配ルールの学習が困難な集団では、bonding次元の得点が高い個人ほど、より多くの資源を得ていた。これらの結果は、適切な分配額を判断するための認知的側面と、他者への配慮の観点から分配額の適切性を考える動機的側面が、コミュニティの切り替えに重要である可能性を示唆するものである。
研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、(1) 調査研究を通じて、実行機能の課題切り替え能力が、現実の社会的ネットワークにおける複数のコミュニティへの所属を促すことを解明した点、(2) 実験研究を通じて、実行機能の課題切り替え能力が、規範の学習が困難な集団において、適切なルールを学習し、相手に受け入れられるような行動の実行につながっていることを解明した点が挙げられる。
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Research Products
(2 results)