2023 Fiscal Year Annual Research Report
Re-examination of behavioral priming from the evolutionary perspective.
Project/Area Number |
17K04317
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
沼崎 誠 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (10228273)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 行動の自動性 / 進化心理学 / プライミング効果 / 異性愛 / 社会系心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,再現性が問題となっている,プライムが状況の手がかりとして機能し,状況に適した行動の準備状態が形成され,行動が変化する行動プライミングに関して,再検討を行った.具体的には,1) 再現性がないとされていた異性愛プライミングの効果,2)異性愛と関連する外見注目プライミングの効果,3)脅威プライミングが攻撃/防衛行動に及ぼす効果,について検討を行った. 1)に関しては,最初に異性愛プライミングの研究方法を確立する研究を行った.その後,異性愛プライミングに関して,a)実験室実験 b)大教室質問紙実験 c)大学生Web実験 d)一般サンプルWeb実験 を行った.異性愛のタイプ(長期配偶vs.短期配偶)と個人差(生活史方略)を調整要因として考慮して実験室実験を行うと,先行研究を再現する異性愛プライミングの効果が見られた.しかし,自宅でWebのサイトに入って実施をする実験においては再現できなかった.これらの結果は,プライミングの影響の強さが実験の実施方法によって異なることを示唆する. 2)に関しては,自分の外見注目プライミングをすると,従来指摘されていた女性だけではなく,男性においても慈愛的偏見が強まることが見いだされた.さらに,潜在測度を用いると,自己概念にジェンダー・ステレオタイプが取り込まれる自己ステレオタイプ化が見られた.これらの結果は,プライミング効果が自己概念や態度を変化させ,行動に影響を与えることを示唆する. 3)に関しては,攻撃/防衛行動を同時に測定できるパラダイムを使って,部屋の大きさによって脅威プライミングが攻撃/防衛行動に及ぼす効果を検討した.狭い部屋においてのみ,脅威プライミングと身体能力の個人差が攻撃/防衛行動に影響を及ぼすことが実施した2つの研究で共通に見いだされた.この結果は,プライミングの効果が生態的要因に影響を受けることを示唆する.
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Research Products
(2 results)