2019 Fiscal Year Research-status Report
An empical study of mechanizm for facilitating and suppressing innovation in organizations
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17K04322
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
高石 光一 亜細亜大学, 経営学部, 教授 (00350710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 英子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (40352736)
野口 和代 (関口和代) 東京経済大学, 経営学部, 教授 (70350709)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イノベーション / 創造的行動 / 利他性 / 変化への抵抗 / 心理的安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イノベーションを推進するための個人と組織に関する心理学的研究であり、新たな視点から、従業員個人の顧客や同僚など他者へ志向性と、組織内部に潜む変革への抵抗などの抑制要因などが、いかに企業のイノベーションを影響するかのメカニズムを実証的に検証するものです。 2017年度は、理論に基づく実証研究に取り組みました。other-orientation(同僚・顧客等への関心の強さの程度)、beneficiary contact(社員が、製品やサービスの受益者との間に持つ質的および量的交流を形成する職務特性)、psychological safety(職場で、自分自身の存在を示し表現しても、ネガティブなことにはならないという意識)、resistance to change(あらゆる種類の変化に嫌悪を感じ、変化への価値を認めず、変化に抵抗し否定する個人の傾向)、information exchange(部署内でのメンバーが情報交換する程度)、leader receptivity(部下はリーダーはオープンで変化を推進し、社員のアイデアに興味をしてくれるという認知)などに関する理論研究を踏まえ、適切な定義と尺度を作成し、企業2社でのデータ収集を終えました。うち一社は、我が国を代表するイノベーティブ企業である製造業(静岡県、グループ企業従業員全体900人)A社であり、セルフチェックによるデータに加え、管理者・役員によるこれらの部下への評価データが収集できました。 2018年度は、理論の精緻化と共にこれらのデータの分析に注力しました。 2019年度は、収集したデータを分析し国内で報告し、論文にまとめました。psychological safetyについての先駆け的実証研究となりました。近時、実務家の間でブームのように注目されるpsychological safetyですが、イノベーション行動への説明力の脆弱性や影響のメカニズムについて示唆しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度より研究代表者である高石が経営学部長の任についたことから、研究・教育に携わる時間が激減しています。昨今の大学を取り巻く環境の厳しさから学務関係業務を優先せざるを得ない状況です。この遅れを取り戻したく努めています。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度にアクセプトされたものの、コロナ禍のため2021年に延期されたICP(International Congress of Psychology)での報告と英文ジャーナルへの投稿に努めます。HLM(階層的線形モデル)を応用した新たな分析視点から、従業員のイノベーション行動の促進と抑制のメカニズムを説明できるよう努め、そのモデル化に取り組みたく思います。
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Causes of Carryover |
上述のように学部長就任による研究の遅延が主な理由ですが、さらに新型コロナウィルスの感染拡大による国際学会参加延期となったことも大きな要因です。今後、学務に加えて教育、研究をバランスよくこなすよう努めます。また国際学会での報告とともに基幹統計ソフト(SPSS)をリニューアルしたく思います。
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