2019 Fiscal Year Research-status Report
知ること・教えることの値段:情報の価値の心理学的検討
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17K04327
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
中村 國則 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40572889)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 価値 / 情報 / 確率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は当初の目的として情報の価値とその行動への影響を検討課題として,本年度に至る2年間の間に多くの研究成果を公表してきた(中村,2018, 心理学評論; Nakamura, 2018, J, of Cog. Psy).このような成果を踏まえ,2019年度は基準値という情報の影響(Nakamura ,2019, CogSci; 中村,2019,心理学会),確率という情報の価値と金額との値の関係(中村, 2019,認知科学会,行動経済学会;Nakamura, 2019, Psychonomic Society)に関する研究を実施し,公表した.また,確率という情報の価値や金額との関係をより現実場面に即した状況で検討するため,宝くじという現実にある賭けを題材として,その当たり金額と当選確率との間の関係を人間がどのように認知しているかを検討し,自身のこれまでの研究成果と整合する知見を得た.これは2020年度の学会等で報告予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度はまとめの時期であり,その中で研究成果をいくつかの国内・国際学会で公表することに成功し,かつ確率と価値の関係という新たな検討課題を発見し,次の研究テーマにつながる進展を得たと言える.一方で新たな研究テーマの消化にやや時間を要し,研究期間の延長にもつながった.以上を踏まえれば全般的には「おおむね順調」が正当な評価であろう.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新たな検討課題である情報の確率的側面と価値との関係の検討を深めていくと同時に,これまでの研究成果の論文化が大きな目標となろう.また現時点で確率の他に意思決定にまつわる選択肢数とその価値(Nakamura, 2020, Psychonomic Society)との関連という新たな検討課題に着手し始めており,本申請課題に触発された多くの新たな検討課題の深化とその理論的統一も重要な課題である.
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Causes of Carryover |
確率と価値の検討という新たな理論的課題に取り組み始め,その理論的整理に時間を要したため,実証的な検討やその研究成果に入る前に年度が終了したためと考えられる.2020年度は使用額を用いて新たな検討課題も考慮した最終的な申請課題のまとめに入る予定である.
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