2020 Fiscal Year Research-status Report
不安とホルモンについての文化神経心理学的検証ー日米女性比較データによる検証―
Project/Area Number |
17K04328
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60255940)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不安 / 神経症傾向 / 文化差 / 脳波測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
不安は、個人内特性であると共に、社会・文化の制約下での自己形成のプロセスである。したがって、個人の生理的レベル、質問紙などによる態度レベル、認知課題遂行時における脳神経レベルでの複層的分析が必要となる。本研究では、不安とホルモンの関連に着目し、これまで行ってきた自己関連情報のバイアスの文化心理学的視点の知見を加えて、不安のメカニズムを女性を対象とした、日米比較研究によって検証することを目的としている。具体的には以下の手続きで実施を計画した。 1)ネガティブな情報処理時の認知活動の脳波を分析し、2)月経周期におけるホルモンとの関連を分析し、日本、アメリカでの同一手続きによる実験から文化差の有無を検証し、3)不安のメカニズムの文化的モデルを検討する。 これまで、研究協力者と共に、質問紙尺度をパイロット調査で確定し、PC上での実験課題を作成し、ホルモン測定の方法を道程した。予備調査において、実験協力者のホルモン周期の安定性の点が問題となったため、共同研究者と共に、脳波実験を行う前のスクリーニングとなる月経周期の調査を行い、4つの月経周期(黄体期、卵胞期、卵胞期後期、排卵期)を特定することとした。しかしながら、今年度、新型コロナウィルス感染症拡大禍の中では、本計画は実施できないこととなった。研究方法における、ホルモン測定のための唾液採取は生理的検体としてリスクが高く、脳波実験は対面接触型の実験であるためである。そこで非対面の調査を行うという計画変更を行い、新計画の倫理審査を申請準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、計画された研究方法による実験実施が困難であった。ホルモン測定のための唾液採取において、感染の有無を確認するPCR検査(計画費用外)は、高額であり、現在の研究費では、必要な実験協力者数を担保できない。また、脳波実験は対人的接触を伴い、狭い実験室での実施となる。大学の活動指針に基づいて、実験実施を遂行することは、20年度、ほぼ不可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に、コロナ禍の実験実施マニュアルが策定され、実験実施の準備は整えた。しかしながら、緊急事態宣言が発令され、行動制限のため、対面的実験は、現在停止中である。そこで、計画を以下のように修正した。1)唾液によるホルモン測定に代えて、基礎体温によるホルモン周期を同定すること、2)実験室実験の前に質問紙法による不安傾向の測定を行う。この修正により、実験室実験の時間を最小限とすることが可能となり、最終的な研究目的を遂行することが可能となり、また制限下での研究成果を得ることができると考えている。現時点での研究手続きは、ステップ1:35日間の事前ホルモン周期測定課題と不安尺度の測定、ステップ2:ホルモン周期の安定性のある協力者を対象に35日間のホルモン周期課題と実験室での脳波測定である。次年度は研究計画を人を対象とする研究倫理委員会に申請し、承認後、速やかに参加者募集を行い、ステップ1に関して、7月までに終了し、9月以降に脳波データを収集する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大禍での対面実験を実施することができず、研究協力者への謝金および生理検査分析費用を使用しなかった。次年度は、研究計画の変更を人を対象とする研究倫理委員会に申請し、承認後、速やかに参加者募集を行い、ステップ1に関して、7月までに終了し、9月以降に脳波データを収集する。生理検査に代わり、基礎体温計の購入とデータ分析機器、研究協力者および研究補助者への謝金を使用する予定である。
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